借入概要
金額は一千万円、金利は2%、返済期間は7年で無担保・無保証です。
飲食店の新規開業のための借入で、資金用途は全て設備資金です。
事業計画書作成に関して
資金用途を運転資金にすると、融資申請時に見積りを用意するのが難しい、返済期間の上限が短い、などデメリットがあります。
なので資金用途は設備資金、例えば内装費、設備費などにするのがおすすめです。
また、少し高めに見積もっておくのもポイントです。
融資を申請して通った場合でも、希望金額が満額おりるとは限りません。
融資金額を少し減らされたとしても、開業出来るように多めに見積もっておくのです。
融資をうけるために、まず事業計画書を作成しました。
日本政策金融公庫には決まった書式があり、それを提出すれば一応申請は出来ます。
でも内容はとても簡単なもので、実績もない新規開業の輩に対して、それだけの情報で融資がおりるわけはありません。
経営実績がある場合は違うのかもしれませんね。
私は新規開業だったため、店舗を構えようとしている商圏の市場調査、業界の動向、それらに基づく売上計画、顧客獲得計画などを作成して最終的には約20ページになる事業計画書を完成させました。
それらに収支計画書および資金繰り表を添付し、また設備資金の見積りも全て添付して申請しました。
これらの資料は中小企業診断士や税理士などの専門家にもみてもらいました。
客観的データに基づいて、理論立てて分析しましたし、専門家たちからのお墨付きももらいました。
面談に関して
融資申請の書類提出後、面談があります。
提出後2、3日で日本政策金融公庫の担当者から連絡があり、日程が決まりました。
事業計画書について細かく聞かれるのだろうと思い、その内容や収支計画・資金繰り、見積書の詳細までしっかりと見直してから、専従者となる妻と一緒に面談に臨みました。
税理士からは、「面談では人柄も見られる、最後は熱意が大事ですよ」というアドバイスももらいました。
なので創業にかける思い、何としてでも成功させるんだという覚悟を伝えようと思っていました。
しかし、実際の面談で聞かれたことは、「もしも事業がうまくいかなかった場合、どう返済されますか?」ということだった。
もちろん、事業計画書の内容や、創業の動機なども聞かれました。
でもとても形式的なもので、おそらくどういう風に回答しても融資の結果には響かないだろうと思います。
後からそのことに気付きましたが、面談中は緊張していたことと、「熱意が大事」という考えがあったため、
「うまくいかなかった場合、どう返済しますか?」
の質問に対して「広告や宣伝の仕方を変えて、事業を軌道にのせます」「掛け持ちで他の仕事をしてでも、必ず返済します」という答え方をしてしまいました。
結局それで面談は終わり、足りなかった書類があったため後日郵送でもいいから提出して下さいと言われて、面談会場を後にしました。
外に出ると、妻から「あの質問に対して、違う答え方をしたほうがよかったのではないか」と言われました。
熱意云々より、「自己返済出来ない場合でも、親族に依頼するなどして必ず完済します」のほうがよかったと。
そう、融資の担当者にとって大事なのは「完済できるか」といことであって、熱意をもって事業にあたり私が自己完済した場合と、事業は失敗したが親族が手を差し伸べて完済した場合と、何も違いはないのです。
妻に言われて、私も全くその通りだと思いました。
なので足りなかった書類を出しに行くときが最後のチャンスだと考え、自己資金には投入していなかった定期預金の通帳を持っていき、予備資金があることをアピールしました。
もし事業がうまくいかなかった場合、資金繰りが苦しくなった場合でも予備資金で対応できる、また万が一の場合は親族に依頼する準備をしている、ということを伝えました。
はたからみたら、へなちょこ経営者ではあるが、融資を受けるためです。
融資がおりたら、あとは熱意全開で取り組むのみです。
資金繰りもきちんと行い、親族に頼らずにすむよう運営していけばいいのです。
私は予備資金の存在を明らかにしたら、「それも自己資金に投入しなさい、だから融資金額は減額します」と言われるのではないかと思っていました。
しかし、融資をする側も貸したくない訳ではないのです。返ってくるならば、です。利子を得る事が出来ますし、実績にもなります。
なので自己資金に加えて、予備資金があるということは審査結果に対してプラスに働きます。親族の後押しもあれば、なおさらいいでしょう。
客観的データに基づく事業計画書と、万が一のための予備資金、そして怪我の功名でもありますが熱意をしっかりとアピール出来たことにより、無事に融資を受けることが出来ました。
おかげで無事に事業を開始することができ、今のところ滞りなく返済していくことが出来ています。
事業がうまくいき、返済も順調だと追加融資の誘いがあちこちからきます。
融資申請に必死になっていた時が嘘のようです。社会の仕組みを垣間見たような気がします。