自己資金の重要性に関してはこちらのページでしっかりと説明しましたのでお分かり頂けたと思います。
ところが、自己資金が重要である事がわかっても、自己資金を今すぐ用意できないという方が悪知恵(?)を絞り、思いつくのが「見せ金」という手法です。
これは、一旦親族や知人からお金を借りて日本政策金融公庫の担当者に自己資金があるように見せて、実際に融資がおりたら、お金を貸してくれた親族や知人にそっくりそのままお金を返そうという企みです。
融資を受ける為に、日本政策金融公庫の担当者に見せるだけのお金ですから「見せ金」です。
当然事業用に使う意志など最初からありません。
親族から一旦500万円借りて、一緒にATMへ行き、入金して記帳すれば、「見た目残高500万円の通帳」の出来上がりですよね。
その通帳が出来上がったところで500万円を即おろして返金し、記帳はしないままに公庫の面談に臨む・・・という考えですね。
親族や知人が一旦でも貸してくれない場合には、サラ金数社からこの見せ金を引っ張ろうと考える方もいらっしゃいますが、まさに愚の骨頂です。
日本政策金融公庫の担当者は、単純な見た目の自己資金額(通帳記載金額)だけではなく、「いかにその自己資金を貯めたのか?」についても徹底的に追求してきます。
従って、通帳に資金を貯めた痕跡がなく、面談前に突然多額の入金がある場合には自己資金としての評価をしません。
日本政策金融公庫の担当者を「調査役」と呼びますが、彼らは大変優秀な方々で、見せ金のような安っぽい行為で欺けるほど間抜けな集団ではありません。
これは制度融資(信用保証協会付融資)も同じ事で、通帳の履歴を最低でも6ヶ月間は遡ってチェックされますが、その最大の理由は資金の動きをきちんと確認する為です。
ゆえに、本当にコツコツ貯めて、家のタンスにしまっておいたものであっても、面談前に通帳へゴソッと移すと、「見せ金ではないか?」との疑念を抱かれてしまいます。
それくらい、自己資金に関しては敏感な対応を担当者は取ってきます。
だからこそ、自己資金は時間をかけてきちんと通帳に記載する形で蓄えていく必要があるのです。
見せ金で公的融資を引っ張れるほど甘くはありませんので、無駄な行為はやめて真面目に自己資金作りに励むようにしてください。
例外的に、一時的な大きな入金を自己資金として認められるケースとは?
意図的な悪意としての見せ金ではなく、本当に友人や知人から「事業のために使っていいよ」と支援してもらえたお金はどうすれば良いのでしょうか?
その場合は、客観的に見せ金ではなく、事業支援の為に出したお金であると証明できる書類を用意しておくことが大切です。
具体的には、「出資契約書」を作成しておかねばなりません。知人はもちろん、家族・親族であってもです。親しき中にも礼儀ありです。
私が実際に顧客の為に作成した出資契約書のサンプルをこちらからダウンロードできますので、実態に応じて修正しながらご利用ください。
事業用に使えないお金は例え自分名義のお金であっても自己資金とは評価されませんので、第三者からもらった(借りた)お金は尚更、使用目的や金額、配当などの条件を明記しておきましょう。
その上で実印押印と印鑑証明をつければ、公庫の担当者も「事業用として使えるお金だ」「この人は◯◯万円の出資を引き出せる信用力はあるんだ」との印象を客観的に与えることができます。
ただ、あくまでも最高評価に値するのはやはり、ご自身の努力で、それなりの時間もかけて貯めた真の意味での自己資金であることをお忘れなく。