「自己資金がありません・・・・・・・」
当事務所に寄せられる公的融資相談の内、実に50%近くは、このように「自己資金がない」と仰います。
そのような場合、日本政策金融公庫融資や、信用保証協会付制度融資は利用できないのでしょうか?
結論から申上げると、日本政策金融公庫の新創業融資には、自己資金の要件がありますので、自己資金が無い場合、利用は出来ません。
自己資金についてのページでも書いておりますが、再度記載致します。
(以下、日本政策金融公庫のページから抜粋)
————————————
3 自己資金の要件
事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業資金の3分の1以上の自己資金(注)を確認できる方
————————————
例えば、総事業費が900万円かかる場合、300万円を用意すれば、600万円までは融資しますよ、ということです。(※現在、創業資金の10分の1以上に変更されています。詳細は自己資金要件は緩和されたけど・・をご参照下さい。)
では、制度融資(信用保証協会付融資)はどうでしょうか?
実は、制度融資にも以前は自己資金の要件があったのですが、現在はこの要件がなくなりました。
また、制度融資の場合には、信用保証協会が連帯保証に付きますし、保証人に関しても原則取らないことになっていますので、こちらも用意する必要がありません。
つまり、無担保無保証無自己資金で融資を利用する事ができるわけですね。
具体的に制度融資の内容を見てましょう。
制度融資にもいくつか種類がありますが、大別すると、都道府県が行っている制度融資と、市区が行っている制度融資が存在しまます。
それでは、当事務所がお客様の為に良く活用させて頂いている熊本の制度融資を見てみましょう。
それぞれ確認して頂ければわかりますが、創業者支援資金や、中小企業起業化支援資金の申込要件から、自己資金に関する要件が削除されております。
以前は、総事業費の20%の自己資金が要件としてパンフレットにもしっかり記載されていましたし、自己資金の確認が出来ない場合には門前払いだったわけです。
ところが現在、「自己資金が無くても申込できますよ」というスタンスに変わったのです。
※制度融資の検索に関しては、グーグル等の検索エンジンを使って、
「○○県 制度融資」
「××市 制度融資」
と検索をすれば、県庁や市役所等の事業融資のページが見つかると思います。
で、実際に自己資金ゼロでも融資おりるの?
「自己資金が無くても申込できますよ」というスタンスに変わったのは確かですが、申込が出来ることと、融資が実際におりることはまた別の話です。
今回の変更も、あくまでも門前払いだったものが、
「取りあえず事業プランを聞いてもらえるチャンスをもらえた」
に過ぎないのです。
やはり、これまでの経験上、自己資金額と言うのは融資を実行するに当たって重要要素であることに変わりはありません。
自己資金を一生懸命貯めて独立起業する方と、自己資金を全く貯めることなく独立起業しようとする方。
どうしても、「行動」に大きな開きがありますので、前者を信用しがちになりますし、応援したくもなります。
ですので、自己資金がなく、この制度融資にチャレンジしようと考えている方は、「自己資金の要件が無くなってラッキー」ではなく、1度きりのチャンスと思い相当入念な事業計画をご自身で立てて臨む必要があることを肝に銘じてください。
我々のような立場から見れば、要件が緩くなった時と言うのはチャンスではなく、単に申込数を増やして、より厳しい審査でふるいにかけるだけ・・・・という穿った見方もしてしまうのですが、いずれにしても、自己資金が無くてすぐにでも公的融資を受けようとお考えの方にとっては、このチャンスにかけるしかありません。
自己資金の無さを補って余りある綿密な事業計画書とプレゼンテーションで是非とも創業資金を手にして頂きたいと思います。融資実行に際して、不利であることに変わりはありませんが、チャレンジしてみる価値は十分あるでしょう。
※基本的には、当事務所におきましては開業時期を見据え、時間をかけてコツコツと貯金し、通帳にその履歴を残す方法をお勧めしております。もちろん、その方が融資実行確率が高いからです。
借金返済や生活費の融資は日本政策金融公庫ではできませんので、借金でお悩みの方は、まずは融資の前に「過払い金」がないか、借金が消えないかを調べる事からスタートしましょう。→借金・ヤミ金(闇金)のでお悩みの方はこちら