人材育成や財務管理、広告投資や設備投資などの取組を記載した経営力向上計画を、事業所管大臣に申請することで、経営力向上計画の認定書を得ることができます。
経営力向上計画認定を得ることで、どんな良いことがあるの?
税制優遇
法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税が、設備投資(機会設置、ソフトウェア、器具工具、建物附属設備等)の即時償却又は取得金額の10%控除を選択適用できます。
例えば、テレビ会議システムや勤怠管理システムだったり、電気設備、給排水設備、冷暖房設備や食堂、ロッカールーム等の設備投資をした場合に全額を経費計上できれば、法人税(所得税)が抑えられるので助かりますよね?(通常は資産として計上し、毎年減価償却費としてちょっとずつ償却することになります。)
他にも事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の軽減措置特例が適用されます。
金融支援
多くの零細企業にとってメリットがあるのはこの金融支援項目でしょう。
具体的には、日本政策金融公庫からの融資が、設備資金の場合基準利率からマイナス0.9%で適用されます。
2020年4月現在、基準利率は2.16%ですが、0.9%を引くと、1.26%が適用されるというわけですね。
事業で車両が必要になった場合、200万円の新車を購入する場合、金利1.26%だとしたら非常に有利なカーローンが組めてしまうようなものです。
また、中小企業庁のお墨付き認定書があることで、融資実行確率に関しても優位に働きます。
法的支援
旅館業・建設業・一般旅客自動車運送事業・一般貨物自動車運送事業等の許認可事業に関して当該許認可に係る地位をそのまま引き継ぐことができますので、事業承継を考えている方にはメリットがあります。
具体的な書類作成や申請は?
詳しくは中小企業庁のホームページを参考しましょう。
申請様式や記載例も公開されています。
イメージとしては、日本政策金融公庫や金融機関へ提出する事業計画書と、経営数字の分析がセットになった申請書類と考えてください。
自社の事業概要、商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合分析、SWOT分析、具体的な経営力強化施策の内容、資金計画を盛り込みます。
また、決算書を脇に置いて、経営分析も記載します。
申請書内に出てくる各種経営分析の用語
決算書に出てきている数字をそのまま適用、或いは計算して記載します。主な経営分析用語と計算方法は以下の通りです。
- 売上高増加率
- 営業利益率
- 自己資本比率
- 労働生産性
→(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量(労働者数又は労働者数×一人当たり年間就業時間) - EBITDA有利子負債倍率
→EBITDA有利子負債倍率 = 借入金-現金・預金/営業利益+減価償却費 - 営業運転資本
→売上債権+棚卸資産-買入債務 - 営業運転資本回転期間
→営業運転資本回転期間(月) = 営業運転資本/月商 - 流動比率
→流動資産÷流動負債*100
認定がおりると・・・・
こんな簡素な書類が送られてきます。
再発行はされません。
公庫融資や補助金申請の際に写しが必要になりますので、コピーを複数枚とっておくと同時に、原本は大切に保管しておきましょう。