今回は、事例(ケーススタディー)を絡めて、美容業の公的申請に関して解説したいと思います。
当該お客様は、30代前半。ずっと美容師一筋で働いてこられた方で、福岡での開業希望でした。
ご経験年数は申し分なかったのですが、希望額450万に対して、自己資金ゼロ。
ここは大きなネックでした。
ただ、ご存知の方も多いでしょうが、美容師さんって、とても生活しながら、貯金までしていけるほどの収入って、なかなかないんですよね。
もちろん、それでも貯金されている方はされますし、そんな言い訳が公庫に通用するわけではありません。
ズバリ今回のケースを言いますと、お兄様から300万円の出資を受け(返済不要の事業用資金)、その上で、お母様が連帯保証人になったことで、自己資金ゼロで450万の満額融資を引き出しました。
つまり、ポイントは、「家族の応援」ということです。
出資金というのは、厳密には自己資金ではないのですが、公庫の場合、返済不要で事業用に使用できるお金であれば、家族親族知人からの支援でも、「自己資金」として見てもらえます。(毎回確実ではありませんが)
今回は更にお母様の連帯保証が付いたことも大きかったでしょう。
連帯保証付けた方が、金利も安くなりますし、ご本人様もお母様もむしろ付けたいということでしたので印象も良かったでしょうね。
誤解されては困りますが、新創業において最も大事なことは、自己資金を貯めることです。
それこそが、事業にかける準備、情熱、努力の指針だからです。
しかしながら、出資をお願いできる信頼関係、個人的信用があれば、それもまた評価の一助になるということですね。
もちろん、他力本願だけで融資が下りたわけではありません。
事業計画自体は非常にしっかり作り込みました。
美容師さんというのは、持ち客がいますので、独立時には引き連れて行けますので、開業直後からのキャッシュフローも見えやすいわけです。
もちろん、お世話になった会社(お店)に仁義通して、許諾を得た上で円満にですよ?
本来は独立開業に当たり、会社資産である顧客を引き連れて行くなんて許される行為ではありませんが、普段からの仕事っぷりや人間性がこういう場面で問われるわけですね。
美容業の場合、会社やお店につくというよりも、美容師個人につきますからね。
今回の方もかなりの数のお客様を持っていましたし、カットのみならず、カラーやパーマ、美容関連商品の販売等を、部門別に分けてかなり厳しい数字予測を立てても収益が上がる内容で計画書を作成しました。お客さんを持って独立できる(開業当初の売上がある)というのは、本当に大きな強みです。
当初は彼女と2人だけの営業と言うことで、経費も最小限に抑えた形です。
事業計画書作成時、このように売上根拠が明確にあり、キャッシュフローが見えているケースは非常に強いです。
皆さん、利益ガンガンでる業績予想で事業計画書作られる方が多いですが、公庫や金融機関の担当者は根拠のない絵空事は、ハナから信じていません。
壮大な計画持ってきて、それを実現できない人がほとんどであることなど、日々見てきているからです。事業計画書は、最低レベルで計算して、実現性、客観的信憑性示すことの方が重要なのです。
(心の中で)最高を期待し、(事業計画書の上では)最悪に備える
計画書作成だけに限ったことではなく、そういう心構えでいると、融資の実行確率も上がると思います。