東京商工リサーチによると、2018年度の負債総額1000万円以上の企業倒産は10年連続の減少で、28年ぶりの低水準とのこと。
背景としては金融機関が柔軟にリスケジュールに対応していることが要因のようです。
赤字が出ていても、資金が止まらなければ企業は倒産しません。
資金繰りが厳しい企業は、「新たに資金を調達する」か「既存の借り入れの返済猶予をしてもらう」しか方法がありません。
実務上は、資金繰りが厳しい企業に新たに追加融資してくれる金融機関はあまりありませんので、返済猶予(リスケジュール)一択となります。
しかし注意しないといけないのは、リスケジュールも無限にできるわけではありません。
経営改善計画書を提出し、目先のリスケジュールに成功したとしても、企業収益自体が改善し黒字化していかなければ、結局いつかは潰れるのです。
好景気による企業収益の高さから企業倒産件数が低水準という結果なら良いのですが、あくまでも金融機関側の譲歩である、リスケジュールのおかげで延命できているに過ぎません。
2008年のリーマンショック後の救済措置として成立・施行された金融円滑化法は時限立法でしたが、結局のところ企業倒産を防ぐ為に金融検査マニュアルに組み込まれ、金融機関側も出来るだけ倒産させたくない利害も相まって恒久的な措置となりました。
10年が経過し、「現状は」数字にもその成果として現れているように思います。
しかし繰り返しますが、リスケジュール自体は単なる延命措置です。
ここまでの成果をゼロサムどころか、大きなマイナスのしっぺ返しとならないよう、長い目でウォッチしていきたいものです。
特に今年は消費増税と来年はオリンピックが控えていますので、その局面をどう企業が乗り越えていけるのか。
収益改善、財務改善は切羽詰まってからは打てる手が非常に限られます。常日頃から危機感を持ち、余裕があるウチから手を打つのが常套です。
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