平成22年の総量規制で消費者金融からの借入が年収の3分の1までしかできなくなった記事(メガバンクがカードローン融資の自主規制)を前回書きました。
繰り返しになりますが、この総量規制は銀行は規制対象外なんです。
その前におまとめローン(債務の一本化)を簡単に説明しますと、
例えば年収600万円の人が200万円(年収の3分の1)借入していたとしましょう。
- 消費者金融A(100万円)→年利15%=15万円
- 消費者金融B(50万円)→年利18%=9万円
- 消費者金融C(50万円)→年利15%=9万円
年間33万円の金利を取られるところを、銀行が200万円を金利12%で「おまとめ」すれば、支払い金利は年間24万円に削減できてしまいます。
債務者にとっても支払い金利が減ることになりますのでこれはこれでメリットがありますよね。
支払い管理も3社それぞれ注意しながら自転車操業していたところを一本化することで管理が楽になります。
支払金利は減り、支払管理も容易になったことで随分楽になった気がしますが、ここに落とし穴があります。
借り換えを行ったことで、消費者金融からの借入自体は0に戻り、再び年収の3分の1まで借金ができてしまう状態に戻ります。
借り換え(債務の一本化)を行ったことで実際にメリットを享受できるのは事実ですが、自分の中の甘い気持ちに負けてしまい、消費者金融からの借金を繰り返してしまえば、借り換え前以上の苦しい状況に陥ってしまいます。
この部分が銀行のおまとめローンの抜け穴であると指摘されているわけですが、まあ元々総量規制自体の不備と言わざるを得ないですよね。
自己の意思で借入を繰り返すことを防げるのならば、そもそも大きな社会問題になることもなく、こうした総量規制ができることもなかったわけですが、できあがった規制も穴だらけで結局問題の根本的解決はなく、抜け穴を付く企業とのいたちごっこの様相を呈しています。
しかしながら、いつものこととはいえ銀行さんもやることがエグいですね。
自分達は総量規制の網からは逃れておいて、子会社である消費者金融には年収の3分の1までいっぱいに借金させ、上限に達すると救済の手を差し伸べるかのごとく「おまとめローン」などというこれまた耳障りの良い言葉で借り換えさせて、自分達で金利を稼ぎつつ、総量規制分をリセットしてまた子会社へ走らせる・・・・
とは言いつつも、銀行や金融機関だけを悪者扱いするのはフェアではないでしょう。
おまとめローン自体はうまく使って金利を下げ、借金を整理・返済していくには実質的にメリットのある方法です。
銀行が意図する、しないに関わらず、最終的には各人の自己判断や心の弱さが問題の根本であり、それを各人に負わせるには酷だと言うのなら、こんなザルではなくもっときっちり規制しなければ、こうなるであろうことは容易に想像できたのではないかと思います。
借入をされる方には、おまとめローンを利用すること自体は問題ない。でも強い心を持って、再度サラ金を利用することがないようにして欲しいということです。
返せる借金ならいくらでもすれば良いと思いますが、返せない借金を繰り返すことは、多少の延命にはなっても結局は自分の首を締めるだけなのです。
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