金融機関によるお金の融資にはたいていの場合保証人制度が設けられています。もし借りた人が借りたお金を返せなくなってしまった場合には保証人が代わりに返済するわけです。貸した側としてはこの制度を活用することで貸したお金が返ってこなくなるリスクを軽減するわけですが、借りる側としては保証人を用意できるかどうかでお金を借りられるかどうかが決まってしまう面もあります。
そうした事情もあり、保証人を必要としないでお金を借りることができる融資制度を設けている金融機関もあります。どうしても保証人が見つからないといった場合にはこうした制度を利用するわけですが、高額の融資を行う場合にはまったく保証がない状態でお金を融資することはほとんどなく、保証人がない場合には保証会社が代わりに保証する形となります。
このように保証会社が保証したうえで融資を行った状態でもし借りた人が借金を返せなくなってしまった場合には保証会社が代わりに金融機関に返済することになります。これを代位弁済といいます。
もう少し具体的に見るとこの保証会社は単に借金を肩代わりするのではなく、本来お金を貸していた債権者が貸した相手に持っていた「お金を貸している」という権利(原債権)を取得する行為が伴います。この原債権を取得することを「代位」といいます。つまりお金を借りた側としては保証会社が肩代わりしたことで借金がなくなったわけではなく、借りた相手が金融機関から保証会社に切り替わっただけになるわけです。ですからその後は金融機関ではなく保証会社から返済の催促・督促が行われるようになります。
じつはこれが非常に厄介な事態を招くことが多く、金融機関以上に厳しい督促を受けるようになったり、財産の処分を請求したり、法的な手段で財産の差し押さえといった手段に訴え出てくることもあります。とくに多いのが一括で支払えと請求してきたうえでそれが不可能となると法的手段に訴えるケースです。金融機関に対して返済ができない状態だったのにいきなり一括返済しろといわれてもできるはずがありませんから、最初から無理なことを承知の上で請求してくるパターンが多くを占めています。
もちろん、すべての代位弁済がこのような問題のあるケースではありませんが、実際問題としてこうした問題が頻発しているのも事実です。ですから融資を受ける際にはできるだけ代位弁済の状況に陥らないよう注意し、できれば自分で保証人を用意できる環境を整えておくことが求められるのです。