国内企業の9割以上を占める中小企業の倒産を防ぐことはそのまま日本経済の安定化と発展の基礎作りともなるだけにこの制度は非常に大きな意味を持っています。そのため中小企業が倒産するのを防ぐために1978年にスタートしたこの融資・支援制度が経営セーフティ共済です。これまで多くの中小企業の倒産の危機を救ってきており、平成27年3月末現在で約38万件の在籍件数という実績を積み重ねています。
この制度の大きな特徴は、中小企業の倒産によって連鎖反応的に取引関係にある中小企業が倒産してしまうのを防ぐことを目的にしている点です。取引先の企業が倒産し再建や取引中の代金の回収が不可能になってしまうとその影響を受けてたちまち経営状況が悪化してしまうというケースが中小企業にはよく見られます。
こうした不意の損失に耐えられる資金力がないため、せっかく黒字で健全な経営を続けてきているにも拘わらず何の落ち度もない状況で破綻に追い込まれてしまう恐れもあるわけです。こうした連鎖反応がもたらす経済への影響は大きく、雇用の不安定化も含め社会全体が対策・防止を行っていく必要があります。経営セーフティ共済とはこうした連鎖反応による不安定化を防ぐための融資・共済制度なのです。
この制度の最大のポイントとなるのが無担保・無保証人で融資(貸し付け)を行うことができる点です。中小企業の多くは担保となるような資産を持ち合わせていませんし、経営危機に陥った企業が保証人を見つけるのは困難です。お金が必要な時になればなるほど融資を受けにくくなるという中小企業特有のハードルをクリアする必要がなく資金調達を受けることができます。また、貸し付け額は最大で8000万円までと、かなりの規模の経営危機や資金調達の必要性にも応じることができます。
なお、具体的な貸付額は取引先会社の倒産によって回収ができなくなった売掛金の債権と前渡し金返還請求権の額か、掛け金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額の範囲内となります。返済額は5000万円未満で5年以内、5000万円以上6500万円未満で6年、6500万円以上で7年、いずれも6ヵ月の据え置き期間を含む期間です。返済方法は均等分割方式です。
無利子で融資を受けられるのもこの制度の大きな特徴・魅力ですが、貸付を受ける際には貸付額の10分の1に相当する金額が掛け金から控除される形となります。
取引先の倒産はいつ起こるかわかりません。順調な経営状況にいきなり災難として舞い込んでくるケースも多いだけに中小企業の経営者はこの制度のことを頭に入れておいて損はないはずです。