融資に関してはさまざまな種類を用意しており、広く資金調達を必要としている対象に対して独自の総合支援策を取り揃えている金融機関が商工中金です。対象も個人、法人、個人事業主と幅広い範囲に及びます。
企業、とりわけ中小企業の経営安定化や事業の促進のために必要な資金を融資するものが多く、資金繰りに困った時に利用する駆け込み寺のような役割を備えているのもこの金融機関の大きな特徴です。
たとえば「セーフティネット支援」。これは現在経営状況が悪化しているものの、当座のピンチを乗り越えることができれば中長期的に業績の回復が見込める企業に対して融資を行う制度です。
それから「革新のための資金」。こちらは経営革新を行うために必要となる資金を融資する制度です。
融資の対象は幅広く、海外の現地法人への出資など海外展開に関わる資金、情報化の促進による業務のスリム化、高度化に必要な資金、新製品の開発や雇用の拡大のための事業拡大、さらには都道府県から認可を得た上での事業の経営革新などの用途で活用できます。
セーフティネットが経営状況を改善するための防御的な融資制度ならこちらはより業績を好転させるための攻撃的(積極的)な融資制度といえるでしょう。
ほかにも「創業・新事業進出支援(イノベーション21)」や「海外展開支援(オーハーシーズ21)」「環境対策支援」といった融資制度を設けています。
経営状況を改めたい、あるいは事業の拡大に打って出たいけれども資金の問題を抱えている、といった経営者はこうした商工中金の融資制度を検討してみてはいかがでしょうか。
もう少し商工中金の融資制度について見てみましょう。まず融資の対象としては中小企業がメインとなるのですが、具体的に商工中金の株主になっている中小企業団体とその構成員が対象となります。
加えて中小企業をメインの構成メンバーとしている共同出資会社、先述の中小企業団体の海外現地法人の構成員なども対象となっています。なお、融資の相談を行う際にはこうした条件を満たす必要はなく、実際に融資を受ける際に条件を満たす形でも可能です。
それから融資の形態は2種類。組合に対して貸付を行う組合貸と構成員に直接融資を行う構成員貸です。
前者は団体が共同で行う事業に対して融資する「共同事業資金」と構成員が行う事業に対して組合を通して融資を行う形となる「転貸資金」の2種類に分けることができます。
こうした条件こそありますが、中小企業が経営の円滑化や建て直しなどの際にそれぞれのシチュエーションに合った融資を受けることができる金融機関といえるでしょう。