2011年3月に起こった東日本大震災は未曾有といってもよい被害をもたらしました。津波をはじめとした地震の被害だけでなく、原発事故がもたらした風評被害も広範囲の企業に大きなダメージをもたらし、多くの中小企業が破綻に追い込まれる状況に陥りました。
現在でも震災のダメージで苦しい経営状況に晒されている中小企業は少なくありません。そんな企業の経営の建て直しのために用意されたのが東日本大震災復興特別貸付です。
先述のように震災は幅広い範囲で影響をもたらしたため、この制度では融資の対象を3種類に分けています。
まず「震災直接被害関連」。これはその名の通り震災によって直接被害を受けた企業を対象としています。
それから「震災間接被害関連」。こちらは中小企業によく見られる取引先の経営不安や破綻によって被害を蒙った企業を対象にしたものです。
中小企業の場合、取引先の企業が商品の代金を支払えなくなったり、債権の返済が不可能になったりするとたちまちそのあおりを受けて経営難に陥ってしまうケースがよく見られます。
そこで震災によって直接被害を受けた企業と取引関係があった企業を間接被害として分類し、融資の対象としているのです。
そして3つ目が「震災セーフティネット関連」。このたびの震災の大きな問題はおもに原発事故によってもたらされた風評被害でした。
根拠のない噂やイメージばかりが先走りした結果、食品をはじめとした被災地の生産物の売り上げが大幅に減少したり、観光客が激減したりするといった大きな問題が生じました。
そこで風評被害や原発事故時の計画停電などの影響で打撃を受けて経営難に陥った企業に対しても融資を行っているのです。
なお、この3種類の分類はいずれも被災地内に事業所を置いているうえに事業活動をしっかりと行っていることが条件となります。
使用目的は震災によって生じた損害を復旧するために必要な設備資金ならびに運転資金となっています。ただ「震災セーフティネット関連」に関しては経営の維持や資金繰りの改善のために必要となる資金が対象となります。
融資限度額は「震災セーフティネット関連」が4800万円、そのほかの2つが6000万円に設定されています。
返済期限は「震災直接被害関連」では設備資金が20年以内、運転資金が15年以内。「震災間接被害関連」では設備資金、運転資金ともに15年以内、「震災セーフティネット関連」では設備資金が15年以内、運転資金は5年以内となっています。