日本政策金融公庫が提供している制度で、高齢者をはじめとした年金受注者の資金調達手段として役立てるために用意されたのが恩給・共済年金担保貸です。
老後破産の言葉が広く聞かれるようになったように、高齢化社会の影響で定年退職後の資産運用、さらには資金調達の難しさが指摘されるようになっています。
仕事もなく、年齢的な問題もあって金融機関からの融資を受けるのが難しい年齢になると年金以外に収入の手段がなく、まとまった資金が必要になった場合には貯金を切り崩す以外に方法がないというケースがほとんどです。
それだけの貯金を確保できていればよいのですが、なかなかそうした余裕がある方は少ないでしょう。
また、退職後に事業をはじめるケースも増えており、その際に貯金以外の資金調達の手段を確保できるかどうかも重要なポイントです。この恩給・共済年金担保貸付はそうした高齢者をはじめとした融資を受けるのが難しい人を対象とした制度なのです。
ポイントはやはり利用条件。恩給や災害補償年金を受けていること、それから共済年金や厚生年金の受給者も該当します。
なお厚生年金は共済年金が支給しているものに限定されます。加えて生活保護を現在受給していないこと、この制度を利用中に生活保護を受給し、その受給をやめてから5年以上経過していることが条件として定められています。過去ならびに現在に生活保護を受けたことがあるかどうかがひとつの境界線となります。
融資限度額は250万円まで。恩給・災害補償年金の受給を受けている場合には担保とする年金の年額の3年分以内、共済年金、厚生年金の受給者では担保となる年金の年額の2.2年分が上限となります。なお、後者のケースでは資金の用途が生活費の場合には100万円までに限定されるので気をつけましょう。
用途の幅広さもこの制度の特徴で、上述した生活費としての使用のほか、残った住宅ローンの支払いや事業の運転資金などにも活用することができます。それからもうひとつ、返済方法も特殊で、直接現金で返済していくのではなく、恩給や年金をそのまま返済金として日本政策金融公庫が受け取る形となります。つまり恩給・年金は担保であるとともに返済方法でもあるわけです。
利率は恩給・災害補償年金の場合は年率0.45パーセント、共済年金・厚生年金の場合は年率1.95パーセント。当座にまとまった現金が欲しい、または無理なく返済できる形でお金を借りたい、といったケースに適した融資・貸付制度といえるでしょう。