経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)とは日本政策金融公庫が行っている融資制度のひとつです。中小企業を中心とした幅広い企業が活用できる制度でもあります。
企業の資金調達における大きな問題点は資金が必要な時ほど融資を受けにくい点です。どうしてお金が必要になるのか、多くのケースでは資金繰りが悪化したのでそれをカバーするためにある程度まとまった資金が必要になります。しかしこうした経営状況が厳しい企業に対して銀行は積極的に融資を行ってくれません。銀行側の言い分としては経営状況が悪化して回収不能に陥るリスクを抱えている企業に融資を行うことはできない、ということになるでしょう。
この問題は中小企業であればあるほど大きな問題となります。ある程度大きな企業なら少々経営状況が傾いていても資金力がありますから、その信用で融資を受けることができます。またブランドイメージ、信頼性から融資が受けやすくなる面もあるでしょう。しかし中小企業の場合はそうした余裕はなく、資金繰りが悪化した際に調達できないとそのまま経営危機に陥ってしまうこともあります。
もうひとつ問題なのは経営状況が悪化して資金が必要になったからといって会社の経営そのものに危機が生じているとは必ずしもいえないことです。売り上げや収益の減少はあくまで一時的なもので、その場を乗り切ることさえできれば再び回復させることができるケースも少なくないのです。逆にせっかくそうした環境にあるにも拘わらず一度資金が必要になった時に調達ができなかっただけで破綻に追い込まれてしまうこともあります。黒字倒産と呼ばれるケースによく見られるものです。
経営環境変化対応資金とはこうしたケースに融資を行う制度です。短期的には経営の悪化が見られるものの、中・長期的に見ると回復が期待でき、返済が可能と判断される企業に対して積極的な融資を行っています。
条件としては最新の決算期における売上高が前期・前々期に比べて5パーセント以上落ちていること、最近3ヶ月の売り上げが前年、もしくは前年期に比べて落ちていること、最新の決算期における純利益か売り上げ経常利益率が前期・前々期と比べて落ちていることなどが挙げられます。これらの条件の中のひとつでも融資を受けることができます。融資限度額は4800万円まで。返済期間は設備資金の場合は15年以内、運転資金の場合は5年以内となっています。まとまった資金が必要なのにも拘わらずどうしても調達のめどが立たないときに心強い味方となってくれるでしょう。