根抵当権とは、企業と銀行間の融資の際に担保する不動産を一度限り設定し、繰り返しの融資の際に担保設定をその都度行う必要がない融資の方法を指します。
企業が銀行から融資を受ける際には不動産などの担保を設定します。
融資を受けた資金の返済が終わると担保となった不動産の抵当権は企業側に戻されます。再度融資を受けることになる際には、もう一度不動産を抵当に入れる必要があります。
不動産を担保とすることで、資金確保がスムーズに行われますが、不動産を抵当に入れて繰り返し融資を受ける場合、弊害が生じる場合があります。
不動産は毎年の路線価の改定により価格が変動します。
かつてはある程度の資産価値があった土地が何らかの影響により資産価値が目減りしてしまうことがあります。
この場合、融資金額も少なくなってしまうため、企業側のメリットが小さくなってしまいます。
例えば2年前には3000万円の融資を受けることができたのに、2年後には不動産価値が減少し2000万円までしか融資を受けられなくなってしまったという場合がそれに当たります。
また融資を受けるごとに担保を設定し直していると、時間的なロスが生じるだけでなく融資までに時間がかかり、企業活動に影響が出る可能性があります。
企業活動が日本経済を支えているため、経済活動を円滑に進めるために設定されたのが根抵当権です。
根抵当権は銀行からの融資を受ける際に一度設定すれば、その時点での担保価値に基づいてその後も融資を受けられる制度です。
不動産価値の減少に伴って融資額が制限を受ける可能性は少なくなり、企業側も運転資金を確保できる点でメリットがあります。
また融資を受けるたびに抵当権の設定をする必要がないため、手続きもスムーズに行うことができ、緊急に資金を必要とする場合にすぐに融資を受けられるという利点もあります。
また銀行側にとってもメリットがあります。
設定した融資限度金額に見合った不動産を担保するため、万一不渡りなどが起きた場合、不動産を売却して債権を回収することができます。
不良債権が残らないため融資側にとっての貸出リスクが小さく、しかもほとんど損をする可能性もありません。
また融資を受けた側が借金の返済を終えることで、担保としている不動産は戻ってきますし、仮に不動産を抵当に取られたとしても、融資金額の返済に充てられて資金が残っている場合には手元に戻ってきます。
根抵当権は融資を受ける側、する側双方にメリットのある制度なのです。