企業が健全な経営を続けていくためには運転資金の確保が必要になります。
経営が順調であれば運転資金に余裕が生まれ、業務拡大を目指すことができますが、何らかの事情により資金繰りが悪化してしまうと、借金の返済に影響が出てしまうことがあります。
一旦銀行などから融資を受けた場合、信用取引として定められた金額を返済する必要がありますが、返済が滞ると不渡りを起こすことになり、事業が続けられなくなる可能性が高くなります。
こうした事態を回避するために返済の猶予や返済額の調整を依頼する方法があります。
リスケジュールとは、上記のような状態を指し、金融機関側に返済猶予などを求めることを指します。
国の政策としてリスケジュールが行われることがあります。
サブプライムローン問題やリーマンショックを境に資金繰りが悪化した企業を支援するために、返済猶予を求めるモラトリアムが実施されたことがあります。
モラトリアムはリスケジュールの一つで、銀行に対して返済猶予を依頼しやすくする制度です。
実際にモラトリアムが実施されることで、企業の倒産件数が減少し、資金調達を行なって企業の経営再建につながったケースもあります。
モラトリアムのように国が主導で行うリスケジュールにおいて、企業は悪い影響を受ける心配はありません。
仮に企業側がモラトリアムの適用を受けずに銀行側にリスケジュールを依頼する場合、信用に傷がつくことになり、影響を免れなくなります。
例えば今後の追加融資が受けられなくなるといった可能性があります。銀行側は融資を行ない、金利分で収益を賄っています。収益を上げる見込みがなくなるとなれば、銀行サイドは貸し渋るようになるわけです。
リスケジュールの実施により、返済額が減少するものの、新たな運転資金が得られなくなる場合、経営に行き詰る可能性が高くなります。
こうしたことが背景にあるため、新規で起業する法人や個人事業主に対して銀行側は融資を行なう面で慎重になります。
新規開業後、経営に行き詰る可能性が捨てきれないからです。
そのため信用保証協会などの力を借りて保証人を確保し、融資を受ける方法が選ばれるようになります。リスケジュールは万能薬ではありません。
リスケジュールを実施した後に、再度リスケジュールを依頼すると断られることもあります。それだけ企業の経営力が落ち込んでいることを示しているためです。
ですから企業側はできるだけリスケジュールを行なわないように、計画的な資金調達や経営戦略を練る必要があります。