国や都道府県、市などが行っている公共工事は、比較的規模が大きな工事が多く、多大な金額になることもあります。
請負代金は通常工事完成後に発注者へ請求しますが、資材購入費や労働者の人件費など工事着工時に多額の資金が必要であることが多いため、公共工事を請け負った建設会社側の費用負担が小さくありません。
そこで、請負業者の費用負担を軽減するために公共工事の契約金額の一部を前払いで支払う「前払金保証制度」が用意されています。
前払金保証制度では、まだ工事が完成していないのに代金の前払いであるため、もし請負業者が工事を行わなかった場合等のリスクがあります。
このようなリスクをカバーするため、請負業者に支払う前払金を保証会社が発注者(国や地方公共団体等)に対して保証する「公共工事前払金保証事業」が行われています。
公共工事前払金保証事業を行っている会社は、下記の3社です。
- 西日本建設業保証株式会社
- 東日本建設業保証株式会社
- 北海道建設業信用保証株式会社
請負業者が発注者へ前払金を支出してもらうためには、この保証会社の「前払金保証」が必要となります。
請負業者と保証会社が前払金保証契約を締結すると「前払金保証証書」が発行されます。この前払金保証証書を発注者(国や地方公共団体)へ提出することで前払金を請求できます。
対象となる工事は、国や地方公共団体等の発注する土木建築工事や測量業務があります。
例えば、1件の請負代金額が500万円以上の建設工事や1件の委託金額が300万円以上の建設工事に係る設計、調査、測量業務など発注者によって定められています。
建設工事では上限はありますが、請負代金の4割までが前払金として支払われます。なお、契約した工事に必要な経費(材料費、労務費、仮設費、下請代金等)以外の支払いには充当することはできません。
請負業者が発注者から前払金を受けとった後に、何らかの事情で工事を完成させることができず請負契約が解除された場合は、保証会社が前払金に係る損害金を発注者へ支払うことになります。