知的財産担保融資とは、その名の通り知的財産を担保にして融資をすることで、日本政策投資銀行が行っている融資がよく知られています。
以前はこのような政府系の機関が融資するのが一般的でしたが、特許庁が知財ビジネス評価書事業を行うようになってから、一般の銀行でも取り扱いが増えてきました。
知的財産ではアニメや映画、コンピュータのプログラムや音楽などの著作権、特許や実用新案、商標などです。
この財産が担保として認められるためには、知的財産によって継続的に収益が得られると評価されなければいけません。
このため売上実績がない知的財産は、担保とはなりません。
売上実績がない場合や、現状では財産の評価が困難な場合は、新株予約権付融資が行われますが、この場合はその会社の将来性があることが条件となります。
中小企業やベンチャー企業が事業資金を調達するために知的財産を活用すると、不動産などを担保にする必要がなく、有利な条件で融資交渉を進められます。
知的資産は会社の独自性を高め、企業の成長のためには不可欠な資源です。自社の知的財産を有効活用すれば、企業の注目度や競争力があがりますから、これまで困難だった融資が受けやすくなるというメリットがあるのです。
知的財産評価融資制度とは?
知的財産評価融資制度とは、公益財団法人東京都中小企業振興公社と東京TYフィナンシャルグループの3行(東京都民銀行と八千代銀行、そして新銀行東京)が提携して提供する融資商品です。商品名を「事業のチカラ」といいます。
東京都内の中小企業の多様なニーズに対応することで、東京の産業と経済の活性化に貢献することが狙いです。
知的財産評価融資制度は平成28年から提供が開始されました。
中小企業へのソリューションの提供はこれまでも課題でしたが、一銀行が単独で行うのはなかなか難しいものがありました。それが、東京都中小企業振興公社と連携してそのノウハウを活用しつつ3行で取り扱うことで、成長力や事業性を評価した融資が可能になります。
これまでの決算書や担保・保証の有無で決められていた融資と違って、地域産業や企業の成長を支援するものですから、成長力のある企業なら現状の決算書の内容が良くなくても融資を受けられる可能性があります。
具体的には、東京都中小企業振興公社の事業可能性評価事業で「事業の可能性あり」と認められた継続的支援の対象である企業・個人事業主に、運転資金や設備資金を融資するというものです。融資期間は5年以内で融資金額は100万円〜1億円です。