事業を経営するために、なくてはならないのがお金です。事業資金を全て自己資金で賄えれば問題ないのですが、なかなかそうはいかないのが現状です。
事業資金を調達する方法といえば融資を思い浮かべる人も多いのですが、融資以外にも出資という方法で資金を調達することが可能です。
融資とは金融機関や公的機関などからお金を借りることで、借りたお金を利子をつけて返済していきます。
一方の出資とは、その事業が成功すると見込んだ人がお金を出すことです。株式投資がその代表的なものですが、融資とは違って受け取ったお金を返済する必要はありません。そのかわり利益に応じて配当金などの形で、出資者に還元します。会社は出資者が利益を受けられるように、健全な経営を行って業績を上げなければいけません。
利益が上がらない場合は配当金は支払わなくてもかまわないのですが、出資者が経営方針に口を出したり、出資をやめてしまったりするといったリスクがあります。
融資と出資、どちらがお得か?
例えば設備投資のために500万円のお金を金融機関などから借りたとします。その後は利息をつけて返済しなければいけません。
例えば設備投資のための資金を借りて、月々10万円ずつ返済する場合、設備投資を行った結果として10万円以上の売り上げが上がらないと、返済は困難になります。融資は資金投入をして利益が上がらなければ、返済負担が大きくなって経営難に陥るリスクが高いのが特徴です。
では、出資による資金調達はどうでしょうか?
出資ならお金の返済は一切ありません。返済負担がないのでメリットが大きいように感じられます。しかし、第三者から出資を受けると、その人は株主となります。日本の場合は、経営者より株主のほうが力を持っています。
たとえば自分が100万円出資し、信頼のできる親戚に400万円出資してもらって資本金500万円の会社を設立したとします。この場合、親戚の出資額の方が大きいですから、経営者より親戚の方が発言力が強くなります。経営がうまくいかず利益が上がらない場合、株主総会で社長を解任されてしまい、親戚の人が社長になるという会社乗っ取りも可能なのです。
親戚ならまだマシですが、最初にお金を出してくれた赤の他人が業績が良くなったら途端に乗っ取る、、、なんてことは枚挙に暇がありません。(まあ、赤の他人であるにもかかわらず、何の信用もない創業期にお金を出してくれるのはそれはそれでありがたいことだと思いますが)
最初に楽をしようとすると、結局後でうまく行った時に痛い目を見る可能性があるということは覚悟の上で出資を受けましょう。出資を受け入れる場合にはきちんと出資契約書を結んでおくことが大切です。→出資契約書(ワード)(行政書士法人WITHNESS作成の雛形です。事情に合わせて改変しつつ自己責任の下ご利用ください。)
融資と出資、どちらがメリットがあるかは出資者との関係や、企業の状況によるので一概にはいえません。確実に利益がでるという自信があれば、融資を選択すれば、すぐに事業に取り掛かれます。出資の場合は利益をあげて配当金を出さなければ、経営に口出しされたり、最悪の場合は会社を乗っ取られるというリスクがあります。(大事なことなので3回言いました。)