一度経営状態が傾いた企業が再建するためにはかなり険しい道のりを覚悟しなければなりません。とくに中小企業の場合は経営を再び軌道に乗せるまでの体力が不足しているため、せっかくよい再建計画があってもお金の問題で持ちこたえられない恐れが出てきます。ようやく黒字の見通しが出てきた、というところで破綻に追い込まれてしまうことも少なくありません。またお金を調達しようにも経営難に陥った中小企業に融資してくれる金融機関は限られています。こうしたお金の問題で経営再建のチャンスを失ってしまうようなことがないために日本政策金融公庫が用意している支援制度がこの企業再建資金なのです。
ただ、経営難に陥って再建を目指している企業ならどこでも利用できるというわけではありません。利用の際には一定の条件を満たしている必要があるのです。とくに重要なのは第三者機関からの支援や関与、認定を受けている必要があることです。つまり第三者から「この企業は現在再建に向けていろいろな取り組みをして頑張っていますよ」というお墨付きをもらった上ではじめて融資を受けることができるわけです。この条件を満たしていなければいくら自分たちで「経営状態の悪化から立ち直るために頑張っています」とアピールしても認められません。
この条件を満たす方法にはいくつかの種類があります。例えば中小企業再生支援協議会や株式会社再建回収機構が関与したうえで再建を図ること、あるいは産業競争力強化法に基づく認定を受けていること、適切な再生計画のもとで取引先の金融機関からの支援を受けていることなど。ですから再建をはじめるために融資を受ける制度ではなく、すでに再建のとりくみを行っている企業がそのための資金調達として利用する制度ということになるでしょう。
融資を受けた資金は再建に必要となる範囲内で設備資金、運転資金両方で活用することが可能です。ただしどちらか一方だけに偏って利用するのではなく、バランスを考慮して活用していくことになります。この点は融資限度額の設定にも表われており、上限の7200万円のうち運転資金に活用できるのは4800万円までとなっています。
返済期間は設備資金と運転資金で異なっており、設備資金は20年以内(うち据置期間2年)、運転資金が15年以内(うち据置期間2年)です。
利率は先述した利用条件をどのような形で満たしているかによって異なっており、申し込む際にはあらかじめ確認しておくことが大事です。借り入れ期間によっても異なるほか、担保の内容も利率の決定に影響します。