食品業を中心に衛生環境の変化が経営状況に深刻なダメージをもたらすこともあります。
これは食品の原材料の偽装などの問題だけでなく、職場の衛生環境にトラブルが生じたことによる経営悪化も考えられます。
もっとも多いのが食品業や飲食業に見られる食中毒の発生です。このトラブルは時として致命傷となるケースもあり、信頼回復に長い時間がかかるとともに、その間の急激な売り上げの減少に見舞われることになります。
中小規模の企業ではこうした状況に陥るとひとたまりもなく破綻に追い込まれてしまうことも少なくありません。
食品業以外でも感染症などの病気が職場で発生するケースもあります。こうしたケースでも企業のイメージと信頼に大きな傷がつくほか、場合によっては従業員への補償が必要になったり、新たな従業員を雇う際の大きな妨げになってしまったりすることもあります。
衛生環境激変特別貸付ではこうした衛生環境に関わるトラブルが起こった際に救済する目的で資金を融資する制度です。
ポイントはこれまで挙げてきたようにトラブルによるイメージ、売り上げの急激な減少を持ちこたえるために必要な運転資金だけでなく、問題が生じた衛生環境を改善するために必要となる資金も融資の対象にしていることです。
再発することがないよう、あるいは世間に対して衛生状態の改善をアピールするためにも問題を起こした環境を一新させる必要があるわけですが、その際には膨大な設備投資が必要になることもあります。
売り上げが減少しているところに設備投資の負担が加わってしまっては中小規模の企業ではどうにもならないことも少なくありません。この貸付制度は両方を融資対象にすることで経営の建て直しをサポートする形となっています。
融資条件は2つ。
まず衛生環境の激変によって最近1ヵ月間の売り上げが前年もしくは前々年の同期に比べて10パーセント以上減少している上に今後さらに減少が見込まれていること。
もうひとつはそれを乗り越えることができれば中長期的に業況が回復できる見込みがあること。この2点のうちいずれかを満たしていれば申し込むことができます。
用途は広い意味で運転資金に含まれる売り上げ減少や衛生水準の維持・向上などです。
大きな特徴となるのは融資限度額です。
一定の条件が設けられているわけではなく、衛生環境の激変事由ごとに別枠として1000万円ずつ融資が行われます。
つまりトラブルを多く抱えているところほど多くの融資を受けられる形となるのです。
返済期間は原則5年以内、特例として7年までの猶予がつくこともあります。