小規模な事業者が経営を発達・安定化させるために必要な資金を融資し、資金力を強化するための制度として日本政策金融公庫が融資を行っているのが小規模事業者経営発達支援制度です。
中小企業、とりわけ小規模事業者は取引先の倒産など不意なトラブルの影響を受けやすく、また経営の建て直しや新事業を行う際に軌道に乗せるまで耐えられる資金力が不足しているという難点を抱えています。せっかく将来性のある事業で、中長期で見れば高い利益が見込める事業でも当座の資金が不足しているばかりに続けられず破綻してしまうケースも少なくありません。この制度はそうした小規模事業者が抱えている問題を解消し、資金力を強化するために融資する制度なのです。
ただ、小規模事業者なら誰でも利用できるわけではなく、商工会議所・商工会から事業計画の策定、実施の支援を受けていることが大前提となります。しかも経営発達支援計画の認定を受けた商工会議所・商工会に限定されており、その支援のもとで継続的・持続的な発展に取り組んでいる事業者が対象となります。簡単に言えば商工会議所・商工会からのお墨付きをもって経営状況の改善・発達を目指していることが融資の条件となるわけです。
こうしたハードルが用意されていることもあり、融資の内容そのものは充実しています。用途は事業の持続的発展を目的に必要とする設備資金・運転資金両方に幅広く利用が可能となっており、融資限度額は7200万円。うち運転資金分が4800万円となっています。小規模事業者向けの融資制度ではかなりの金額といえるでしょう。
返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が8年以内。こちらも日本政策金融公庫の各種融資制度の中でもかなり優遇された環境となっています。さらに利率に関しても基準金利よりも低い数字となっており、たとえば5年以内の融資期間の場合は0.85~1.45パーセント、さらに雇用の拡大を行う場合には0.75~1.35の範囲内で金利が設定されます。なお、具体的な金利に関しては保証人の有無や融資金額、用途などを考慮したうえで最終的に決定されることになります。
このように、この小規模事業者経営発達資金は雇用の拡大なども視野に入れたうえで広く事業の発展・建て直しのために有利な環境で融資を受けることができる制度です。一定の条件を満たす必要こそあるものの、資金力の不安を抱えている小規模事業者にとっては非常に使い勝手のある制度といえるのではないでしょうか。