2008年は戦後の上場企業倒産件数が最も多い、という激動の1年となりました。その中でも6割は黒字倒産とのこと。
何で黒字なのに倒産するのでしょうか?
と、言うか、そもそも黒字倒産って何なんでしょうか?
売上げというのは、発生した時点計上されますが、実際に入金があるのは「先(未来)」になります。(現金商売でもない限り)
例えば、
A社の商品10万円分をB社が12月1日に購入しました。 → A社の売上10万円
B社は、この商品代金10万円を12月20日に支払うと約束しました。 → A社の売掛金10万円
B社からの入金10万円が12月20日になってもない為、A社の手元資金は0円。
A社は12月25日の5万円分の経費支払が出来ない。 → A社は帳簿上は5万円のプラス(売掛金10万円-経費支払5万円)にも関わらず5万円の支払ができずに倒産、となります。
要は、帳簿上どんなに黒字であっても、キャッシュが回っていなければ簡単に倒産するということです。
黒字倒産する会社は、「資金繰りが下手くそ」ということに他なりません。(赤字企業でも資金繰りが上手ければ倒産しませんので。)
黒字倒産する企業の特徴(資金繰り失敗の原因)
- 売掛金が多い
対策:「売上・売掛金管理表」を作り、取引先毎に1件1件明細を書いて売掛金額や取引先与信を管理すること。また債権回収をしっかりと行うことも大切です。売掛金が多い場合、ファクタリングの利用を検討することで資金調達と資金繰り改善が見込めます。→ファクタリングとは?
- 資金調達が出来ない
対策:一見さんお断りとならないように、日々の金融機関との付き合いを大切にして、借りれる時に借りておく。そうすることで実績ができ、目前の経費支払い程度の資金は「いつでも借りられる」ような状態を恒常的に作っておく。(ここで言う資金調達は低利の公的融資を指し、高金利融資のことではありません。) - どんぶり勘定でそもそもいつ資金需要が発生するのか把握していない
対策:日々の会計記帳はもとより、試算表や資金繰り表をきちんと作成して自社の資金繰りを完全に把握する。
上記3点は当事務所にご相談にお見えになる方の多くが抱えている共通の問題点ですが、諸悪の根源は3番目の「どんぶり勘定」です。
どんぶり勘定を行っているからこそ、資金需要の時期を見誤り、資金調達や債権回収への動きが遅れ、体力のない企業は早晩資金繰りに困ることになり、倒産の憂き目にあいます。
監査法人の監査や、財務のプロフェッショナルが入っている上場企業ですら、黒字倒産しているのです。どんぶり勘定で中小・個人零細が経営を行えばどうなるかは推して知るべし、です。
黒字であるということは、業績自体は調子が良いわけです。黒字にも関わらず倒産する、ということは非常にもったいないですし、悔しいことではないでしょうか?
どんぶり勘定をやめるだけで、黒字倒産を回避できる可能性がぐっと高まるわけですから、まずは日々の記帳整備と資金繰り表の作成をお勧めしたいと思います。
参考:借りれる時に借りておく