法人事業者にとって社会保険料は負担の大きな出費です。
それだけに社会保険料支払いの為の融資申請を依頼されるケースも少なくありません。
融資を受けてきちんと払おうとするのであればまだ良いのですが、何の対策もせずに単に支払えないケースや故意に支払わずに済まそうとする方もいらっしゃいます。
社会保険料を支払わない場合、支払期限の約1週間後に督促状が送られてきます。
この督促状を放置しておくと、さらに2枚、3枚と送られてくる可能性があります。送られてくる回数はその時次第ですが、時には1回だけで次のステップに進むこともあるので、「まだ1回目だから」と油断することはできません。
ちなみに督促状に記載されている期限内に支払わないと延滞金が発生します。
今まで滞納している分に加え、延滞金も支払わなくてはいけなくなるので、法人事業者の負担はいっそう増すことになります。また当然ながら延滞金は期限から遅れれば遅れるほど増えていきます。
さらに社会保険料の滞納は滞納歴として記録され、今後助成金を利用する時に不利になります。というのも、助成金の利用条件に「過去〜年間、社会保険料の滞納がないこと」というものがあるからです。
督促状と同時、あるいは督促状が送られてきた後のステップとして「電話での催促」があります。
この時に大切なのは期限までにいくら支払えるのかを正直に答えることです。
間違っても、支払えないのに「必ず全額払います」というようなことは言わないようにしましょう。
これは融資で返済延滞した場合も全く同じなんですが、逃げたり不誠実な言動は事態を悪化させるだけ。まさに百害あって一利なしです。
払えないからと言って開き直ったり逆ギレするのはもってのほかです。全ての要望が通るわけではありませんが、払えないと察知したら出来るだけ早く、支払い期限よりも前に社会保険事務所や公庫に相談しなければなりません。
さて、電話での催促後、それでも支払わなければ財務調査が行われます。
財務調査では担当職員が事務所や経営者の自宅に足を運び、預金や債権、不動産などの財産がどれくらいあるかをチェックします。
この調査は強制的に行われるものではなく、担当職員の質問や要求への対応も任意ですが、嘘や隠ぺいがあれば処罰の対象になるので、注意しましょう。
財務調査で財産が見つからない場合は強制捜査に移行します。
この場合は拒否できず、経営者や関係者の自宅に担当職員が入り、財産がないかを徹底的に洗われるので、こうなる前に正直に対応することが大切です。
財産が見つかれば差し押さえが行われます。差し押さえられた財産は売却され、社会保険料の滞納分や延滞金に充てられます。
上記は社会保険に加入していてなおかつ保険料を払わない時の話ですが、そもそも社会保険にすら加入していないというケースもあります。
実際に社会保険に加入していない企業は数多く存在し、社会問題になっています。
もし未加入であることが調査で発覚した場合、追徴金が発生したり、罰則を受けたりしますので十分ご注意ください。社会保険料が原因で倒産する企業も多いのです。