ビジネスローンは日本政策金融公庫や制度融資が断られた場合にある意味「仕方なく選択する」資金調達です。
ビジネスローンに頼らざるを得ない時点で、「有利な金利」で借り入れ出来ることはほぼありません。
有利な金利で借りるには、高い与信と好調な業績が求められますが、そうであるならばそもそもビジネスローンに頼る必要はないというパラドックスです。
下限金利は単なる見せかけである場合は多い
よくビジネスローンには「8%〜15%で借り入れ可能」との文言が踊っています。しかし実際に下限金利である8%で借りられるのでしょうか?
公庫や制度融資では断られたけども、そこまで業績が悪化しているワケではない場合ならもしかしたら可能かもしれません。
しかし、そこに期待するのは得策とは言えないでしょう。資金繰りは待ってくれませんので。
有利な金利を探し求めて、申し込んでは却下。申し込んでは却下を繰り返していては時間の無駄であり、そうこうしているうちに資金繰りは破綻してしまいます。
どうしても比較するならば、あくまでも「上限金利」で比較した方が良いでしょう。とはいえ、見せかけの下限金利では差があれど、上限金利自体はどこも大差ないので結局は比較するだけ無駄だと言えます。
不動産担保がなければ金利優遇はない
厳密には、ビジネスローンと不動産担保ローンは別物ですが、金利を安くしたいとの希望がビジネスローンにおいて叶うとすれば、不動産担保を差し入れるしかありません。
しかし上記ページにも記載している通り、不動産担保の評価自体も厳しいものがありますし、差し入れる不動産がなければそもそも利用できません。
金利を競わせるのは事業の調子が良い時である
通常の銀行融資に置いても、こちらが好調で有利な時には銀行間で金利を競わせることが可能です。
例えば、「A銀行は2.5%を提示してきているけど、御行はどうですか?」と言った金利交渉です。
ビジネスローンに置いては立場が逆であることは火を見るより明らかですので、「○○ローンでは15%と言われたのですが、御社はどうですか?」と交渉したところで、「だったらそちらに行ってください」と審査を断られるのが関の山です。
業績が芳しくないところに対して、金利を勉強してまで無理して貸す理由は先方にはないのですから。
金利は高いところから選ぶ
誤解を恐れずに言えば、ビジネスローンに頼らざるを得ない状況で、不動産担保もないのであれば、金利が高いビジネスローンから順次申し込んでいく必要があります。
業績が厳しい中で少しでも金利を抑えたい気持ちはわかりますが、金利と与信は完全に反比例の関係です。
業績が厳しくて公庫や制度融資から借りれない状況で低い金利で事業融資を受けられるなんて甘い現実はないということをまずは受け入れる必要があります。
どんなに「最大3.9%~借り入れ可能」との文言に魅力を感じたところで、ご自身が借りられなければ何の意味もないのです。
低金利のビジネスローン=審査が厳しいとお考えください。
現況が苦しいのであれば、あれやこれや比較するのではなく、多少金利が高くても確実に借り入れができて、スピード重視で現状を打開できる融資を選択すべきです。
もちろん、違法金利を要求する闇金は論外ですが(そこに頼るくらい逼迫している場合、現実的に廃業・解散を検討すべきと言えます。)、法定金利内の業者であれば、選択できる立場ではないはずです。
非常に苦しい現状ではあるでしょうが、無い物ねだりや甘い幻想を抱いても現実は何も変わりません。無駄な金利比較に時間を取られないようにしましょう。
そして、あくまでもそういう事態に陥らないように、毎晩安眠する事業体作りを心がけ、余裕がある状態の時に日本政策金融公庫や制度融資から「いつでも融資を受けられる状況を能動的・意識的に作っておく」ことが大切になります。
その上で、少しでも有利な金利のビジネスローンも枠を確保しておくべく、戦略的に付き合っておくことが大事なのです。
困った時だけ突然「有利な条件でお金を貸してください!」は相手も商売とは言えなかなか通用しません。
銀行は晴れの日に貸して雨の日に取り上げると言いますが、借りる側だって困ってない時には付き合いを杜撰にして、いざ困ったら助けを求めるでは信頼関係は成り立たないのです。
金利は信用構築の為の必要経費でもありますし、返済のあてがある借り入れは決して悪ではありません。