東京一極集中や雇用の減少など、地域の力が衰え人材を確保できず困っている地方企業が増えています。
そこで地域経済の活性化や、地域の雇用を促すことを目的に日本政策金融公庫が実施している融資が地域活性化・雇用促進資金です。
地域を活性化させるためには若手人材を雇用し、地域に定着して結婚や子育てができる環境をつくることが大切です。そのためには若者が働きたいと思える魅力のある企業を作る必要があります。
新たな設備投資を行ったり、新規事業にチャレンジしたりすることも大切です。地域活性化・雇用促進資金は、雇用につながる設備投資などの資金に使える融資です。
国民生活事業の利用限度額は7,200万円
地域活性化・雇用促進資金は個人事業主や小規模事業者向けの国民生活事業と、中小企業向けの中小企業事業に分かれています。利用条件が細かく決められているので、ここでは国民生活事業の場合をみてみましょう。借入限度額は7,200万円。ただし運転資金の場合は、4,800万円が融資限度額となります。
利用できる人は次の条件に当てはまる人です。
(1)企業立地促進法に基づいて決められた集積区域で事業所の新設などを行う事業者。
(2)新たな雇用効果が見込める設備投資を行う事業者。
(3)特別被災地区で新たに1名以上の雇用を行う事業者。ただし従業員が21名以上の場合は2名以上の新規雇用となります。
(4)特別被災地区で雇用調整助成金の給付を受けるための実施計画が認められた事業者。
(5)地方公共団体が進める施策に基づく地域活性化に取り組むための事業を行う事業者。
(6)次世代育成支援対策推進法にもとづき、一般事業主行動計画を労働局長に届け出ている事業者または、女性従業員の活躍促進に取り組む事業者。
企業立地促進法や雇用調整助成金など、政府の取り組みと連動した融資になっているので、融資を申し出る前に地方自治体が地域活性化のためにどのような取り組みを行っているのかを調べておくことをおすすめします。
活用事例をみると、小規模な化学プラントが融資資金で工場を新設し作業効率を上げた実績が紹介されています。
金属製品の製造・加工行う工場経営者のAさんは、工場が狭く作業効率が悪いので、新しい工場を建てようと考えていました。その資金について日本政策金融公庫の国民生活事業に相談したところ、県の企業立地相談窓口を紹介され、企業立地促進法にもとづく新設をすすめられました。そこでAさんは企業立地計画の承認を申請し、県から承認を受け、融資が受けられました。新規工場で作業効率がアップし、売上も上がったとのことです。