せっかく経営状態が良いのに事業を受け継ぐ人がおらず、経営者の高齢化などで廃業せざるを得ないという事態が起こることがあります。
優良企業が廃業するのは日本経済にとってもマイナスですから、政府は事業継承に積極的に取り組む中小企業に対して、有利な条件での融資を行っています。
日本政策金融公庫が実施している事業承継・集約・活性化支援資金で、事業を継ぐ人や後継者がいない企業の事業を譲り受ける際に受けられる融資です。
個人経営者や小規模事業者向けの国民生活事業の場合は、融資限度額は7,200万円。中小企業向けの中小企業事業の融資限度額は7億2,000万円です。特例による低金利で借りられる融資で、一定の要件を満たせば利用できます。
国民生活事業の場合、利用できる人は主に親族に後継者がいない企業から事業を承継する人、株主から自己株式や事業用資産の取得を行う法人、事業用資産の取得を行う個人事業主の後継者、事業会社の株式または資産を受け取る持株会社です。
中小企業経営承継円滑化法に基づく認定を受けた中小企業の代表者も対象になります。また、事業を承継する際に経営者の個人保証の免除などを金融機関に申し出たため、金融機関からの融資を受けられなくなった人で、公庫が融資の際に経営者の個人保証の免除制度を適用する人も対象となります。
このほか地域経済の活性化に貢献する事業、地域に不可欠な生活関連サービスを行う事業、すぐれた技術力があり今後の発展が見込まれる有望な事業の継承に対しても融資が行われます。
決められた条件を満たしていれば日本政策金融公庫が行っている融資のうち、挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)も利用できます。条件を満たせばさらに金利が低くなる、特別金利による利用も可能です。
担保や保証人を始め、細かな条件などを確認するためにも、まずは日本政策金融公庫に相談をしましょう。事業を継承するための融資を受けるからといって、自己資金はゼロでいいというわけではありません。
自分が用意できる資金の額や損益分岐点などを明確にし、しっかりとした事業計画書を作成して、将来性の高い事業を受け継ぐことをアピールする必要があります。魅力的な事業をそのまま引き継げば、事業を立ち上げる苦労がなくなります。事業の引き継ぎや統合を計画している事業主が低金利で借りられる融資ですのでしっかりと活用したいですね。