IT活用促進資金とは日本政策金融公庫が行っている、公的機関の融資制度です。ITが普及し、昔に比べて事業環境ががらりと変わりました。昔は紙とペン、電卓で行っていた業務が、今ではコンピュータが行っています。
コンピュータがあれば銀行の振り込みから、商品の受発注、従業員の給与管理、顧客管理、見積書や企画書といった書類の作成などほとんどの業務が行えます。
このためコンピュータやソフトウェア、ネットワーク設備の導入は会社経営に欠かせないものとなりました。これらIT関連の設備投資を行う企業に対して、融資する制度がIT活用促進資金です。
貸付金の使い道はコンピュータやソフトウェア、モデムなどの周辺装置、多機能情報端末などの端末装置、自動搬送装置などの被制御設備、LANケーブルなどの関連設備、これらの導入に必要な建物です。またケーブルテレビ業の場合は、4K放送に対応するための設備資金にも融資が行われます。
貸付限度額は個人事業主や小規模事業者向けの国民生活事業が7,200万円で、運転資金の上限は4,800万円。
中小企業向けの中小企業事業の貸付限度額は7億2,000万円で、運転資金として借りる場合は2億5,000万円が上限となります。
返済期間はいずれも設備資金が20年以内、運転資金が7年以内となっています。
IT活用促進資金の活用事例
IT活用促進資金はさまざまな用途に活用されています。例えば美容院がITを活用して顧客のデータ管理やニーズの把握を行い、売り上げを上げています。POSレジを導入して売り上げデータの管理を行うとともに、顧客の年齢やその日に利用したサービス、担当美容師といった情報をストックし、顧客がどのようなサービスを好むのかを分析した結果、来店率が上がりました。
データ分析は顧客だけでなく、美容師などのスタッフに対しても行われています。美容師のデータを分析して習得すべき技術を明確にするとともに、接客マニュアルや業務マニュアルを策定し、サービスの向上と業務の効率化を図っています。
また、情報通信業を行う企業では、システムを独自開発し全国の電子通信工事会社と連携し、スピーディーに工事技術者を派遣する体制を整えました。その結果、業務にかかる時間は3分の1に短縮され、大型案件の工事手配も可能になりました。
このようにITを導入することで業務の効率化やサービスの向上が実現するにもかかわらず、導入コストがかかるので二の足を踏む経営者は少なくありません。そんな方におすすめの公的融資制度が、IT活用促進資金です。