総量規制とは個人がお金を借りる際に借りすぎを制限するために設けられた融資の上限のことです。負債で首がまわらなくなって任意整理に追い込まれる人が増えているだけでなく、貸金業者による過度な取立てなどが社会全体で大きな問題となっているなか、こうしたトラブルを未然に防ぐための対策として導入された制度です。
返せないくらいに負債を抱えてしまうというとどうしてもお金にだらしない、浪費ばかりしているとのイメージがつきまといますが、必ずしもそうとはいいきれない部分もあります。予定通りに資金を確保することができず、借金を返済するために別のところへ借金をし、気がついたら多重債務に陥ってしまっていた…といったケースも少なくありませんし、借金を重ねれば重ねるほど借りるのが難しくなり、自然と利息が高い消費者金融を利用するようになってしまうとどんどん借金の総額が増していくことになります。こうした悪循環は一度陥るとなかなか抜けだすことができないため、まずは融資できないよう規制をしようというわけです。
こうした負債をどんどん抱えてしまう根本の原因は収入に見合わない借金をしてしまうことです。自分が得ている収入の範囲内でお金を借りていればとくに問題なく返済することができるはすです。しかし「今度まとまったお金が入るチャンスがあるから」など見込みでお金を借りたりするとちょっと予定通りに行かなくなるだけであっという間にうまく返済が滞ってしまいます。総量規制とはそうしたケースを防ぐため、年収の範囲内で融資を受ける限度額を決定する仕組みとなっています。
ですから規制はお金を借りようとしている人の収入によって異なってきます。決まりでは年収の3分の1まで融資が可能となっており、たとえば年収600万円の人は200万円まで融資を受けることができることになっています。
日常生活を送っていく中で収入のうちどれぐらいを返済にまわせるか、現実的に考えてもこの3分の1という規制は現実的な設定といえるでしょう。
なお、この総量規制の例外となる借り入れもあります。代表的なのが住宅ローン。年収の数倍にも及ぶ融資を受けることになりますから、規制の対象外となっています。他には自動車量、病気・怪我の治療のためのお金を調達するための借り入れ、個人事業主の借り入れ、有価証券の担保としての借り入れなどもこの制度の例外となっています。
クレジットカードや消費者金融からお金を借りる際にはこの総量規制を意識した上でどれぐらい融資を受けられるのかを把握しておく必要があります。複数の業者からお金を借りる場合もこの制度が適用されるので注意しておきましょう。