中小企業の疲弊が日本経済の大きなアキレス腱になっているとも言われており、いかにして支援するか、そして経営を安定化させるかが大きなテーマとなっています。その一環として日本政策金融公庫が用意している資金制度のひとつが中小企業経営力強化資金です。
この制度の特徴は新事業への開拓を目指している中小企業をおもな対象とした支援制度です。事業の拡大において新事業開拓は非常に重要な選択肢ですが、資金力に乏しい中小企業ではリスクが高くなかなか思うように進められないものです。よいアイデア、ビジョンがあるにも関わらず黒字転換、安定化に至るまで耐えられる資金力が不足しているばかりに踏み出すことができない、そんなケースの資金力の強化に役立てることができます。
ただしこの制度を利用するにはいくつかの条件があります。最大のポイントとなるのは外部の専門家からのアドバイスを受けていること。自分たちだけで新事業を開拓するだけでなく、外部からノウハウを取り入れたうえで計画している必要があるわけです。具体的には認定経営革新など特定の支援機関による指導・助言を受けていること、あるいは異分野の中小企業と連携していることが条件となります。
この点をクリアしたうえで事業計画の実施のために必要な資金として融資を受けることができます。条件が限定されていることもあって用途はかなり幅粉広く、設備資金と運転資金両方に活用することができます。新事業開拓の場合はとりわけこの両方の資金に幅広く投資する必要が出てきますし、経営が軌道に乗るまでに持ちこたえるだけに体力が求められます。その点からもこの幅広い用途は価値があるものといえるでしょう。
ただ、運転資金には上限が設けられています。この制度そのものの融資限度額は7200万円、そのうち運転資金は4800万円までとなっています。必ずある程度の設備投資がともなうこと、もっぱら運転資金に依存した形での使用は認められていないことになります。こうした点からも外部からの指導・助言のもとで資金計画・事業計画の両方をうまく行っていくことが重要となります。
運転資金として使用するか、設備資金として使用するかによって返済期間にも違いが出てきます。設備資金に関しては20年以内(うち据置機関が2年以内)なのに対して運転資金は7年以内(うち据置機関が2年以内)と期間にかなりの違いが見られます。
利率は融資期間によっても異なっており、もっとも低い利率で5年以内なら0.85~1.45パーセント。利用者の年齢や性別、さらに担保・保証人の内容によって具体的な利率は異なります。そして担保・保証人に関しては2000万円までの融資なら不要です。