中小企業の経営は一度売り上げ減やトラブルなどによるブランドイメージの低下、人材の流出といった問題に晒されると経営状態を立て直すのが大変です。ある程度の規模(と資金力)を備えた企業なら粘り強く経営改善に取り組んでいる間も持ちこたえることができますが、中小企業の場合はそのチャンスにも恵まれず破綻に追い込まれてしまうケースも少なくありません。
中長期的な視野で見れば十分業績の改善、さらには発展の可能性が見込めるにも関わらず資金力の問題で頓挫してしまうことが中小企業の経営不安定化の大きな要因となっているのです。
経営改善サポート保証制度とはそうした中小企業を巡る状況を踏まえた上で平成26年1月に発足した制度です。産業競争力強化法の試行に合わせる形でスタートしました。
この名称の通り、経営危機・不安定化に陥っている中小企業に対して経営改善のための資金提供を行うのがこの制度のおもな目的です。ただどの企業に対しても融資を行う訳ではなく、一定の条件を満たしていることが条件です。
最大のポイントは特定の団体・機構の指導のもので事業再生の計画を行っていること。すでに第三者からの指導・支援を受けた上でいわば「お墨付き」をもらっていることが最低限の条件になるのです。対象となる団体・機構は中小企業再生支援全国本部、産業復興相談センター、中小企業再生支援協議会などです。なお、指導を受けているのみならず、その元で計画を立てていること、そしてその計画を実行・報告していることも前提条件となります。経営が厳しくなったからすぐに利用できるというわけではないのです。
もう少し条件についてみると地域経済活性化支援機構や東日本大震災事業者再生支援機構などやや特殊なシチュエーションに置かれている企業を対象に指導を行う機構・団体が含まれているのも大きなポイントです。
補償限度額は2億8000万円。なお、融資の対象が組合の場合は4億8000万円まで拡大されます。資金用途はもちろん、経営改善、事業再生の計画の実効に必要な用途。その際には運転資金・設備資金を問いません。
返済期間は2種類。一括返還の場合は1年以内、分割返済の場合には15年以内(据置き期間が1年)。融資利率は実際に融資を行う金融機関が設定している利率となります。
保証人は原則不要、担保も必要に応じて用意するなど融通が利く点もこの制度の大きな魅力です。制度のスタート以来まだ十分に周知されていない面があるともいわれ、経営危機に陥っている経営者はこの制度について詳しく確認しておく価値がありそうです。