中小企業はつねに資金繰りに頭を悩ませながら経営を行っているものです。当座の取引や決済のために必要な資金はもちろん、借入金を返済するための資金を滞りなく用意することができるか。この点も中小企業の経営者に求められるビジネスセンスのひとつといえるでしょう。
この資金繰りが1度うまくいかなくなると連鎖反応的に問題が生じるケースがよく見られます。とくに多いのがさまざまな金融機関から借り入れを行い、その返済のために新たな資金繰りが必要になっていくこと。借入先が増えていけばいくほど迅速・確実な資金調達が必要になり、ますます難しくなってしまうわけです。
そんな難しい資金繰りの問題を解決するための手段として信用保証協会が提供しているのが借換保証制度です。この制度はその名称の通り複数の借り入れを一本化することで返済の負担を軽減し、資金繰りを改善させることを目的としたものです。
複数の借入先があるとその返済日に合わせて資金を調達しなければなりません。また、借入先によって返済期限や金利が異なっていると負担が大きくなるといった問題点もあります。この借換保証では借り入れを一本化することで資金繰りの負担を減らすだけでなく、長期的かつ安定した返済環境へと改善することができます。
借入先ごとに返済期間が異なっていた状況から長期の借入れ・返済の状況になることで資金繰りの環境が安定化します。毎月どれぐらいの金額をいつまでに調達すればよいのか明確にできるので長期的な視野に立った上で計画を立てていくことができるのです。また一本化することで金利の面でも有利な環境になるケースがほとんどで利息を減らすことで毎月の返済額と総返済額の両方を減らしていくチャンスも得られます。
保証限度額は一般保証、企業の経営安定に関わる保証ともに2億8000万円まで。そのうち普通保証の2億円に加えて無担保保証も8000万円分用意されています。
このように、信用保証協会の借換保証では複数の返済がもたらす資金繰りと経営状況の悪化を防ぎ、安定化・効率化を推し進めていくのに役立つ制度です。
実際に利用する際には審査が必要で必ずしもすべての借入れに対して借換保証が適用されるとは限りませんし、経営状況によっては事業計画書の作成が求められることもあります。ただ健全な経営と先々の見通しさえあればこうした点もそれほど大きなハードルにはならないでしょう。
健全・黒字経営にも拘わらずちょっとした資金繰りの悪化で破綻に追い込まれてしまうことも多い中小企業だけに、いざという時のためにこの制度を覚えておくとよいのではないでしょうか。