通常、ローンに代表される金融機関の融資は、ひとつの機関が単独で行います。
そして融資限度額や金利はもちろん、審査の基準にも違いがあることから、ある金融機関で融資が断られた場合でも別のところでは別の判断があり、他の金融機関から融資を受けられる可能性も出てくるのです。
しかし協調融資とはそんなそんな金融機関の融資制度から大きく逸脱した制度ともいえるもので、複数の金融機関が協力する形で融資を行う制度です。
その仕組みから「シンジゲートローン」とも呼ばれています。
この協調融資という名称からもわかるように、各金融機関が協調して融資を行う点が最大の特徴です。
通常は別個の融資を提供している各金融機関が統一の審査基準、金利、返済期間を設定したうえでお金を出し合って融資を行うわけですが、審査を行う前に金融機関同士の連携・協調が必要になるわけです。
そのため通常は「アレンジャー」と呼ばれる金融機関が幹事役のような役割を担当することで融資に参加する金融機関との間で調整を行っていくことになります。
どうしてこのような制度が設けられているのか、それにはいくつかのメリットが理由として挙げられます。
まず巨額の融資を行うことができること。
大企業はもちろん、複数の企業が連携して行うプロジェクトには巨額な資金が必要になります。
いくらそのプロジェクトが魅力溢れるもので、成功すれば高い収益が期待できるものだったとしても、あるいは融資を依頼する企業の資金力や信用性が高くても単独の金融機関ではなかなか融資が難しいというケースも起こりえます。
そこで複数の金融機関がお金を出し合う形で融資を行うのです。
それによって比較的容易に巨額の資金を調達できるほか、万一返済不能・貸し倒れが生じた時のリスクヘッジを行うことができます。
この2つのメリットから比較的に頻繁に行う機会が見られます。
そしてもうひとつ、こちらは融資を受ける側のメリットとなりますが、複数の金融機関が参加・協調して融資を行うことで金利を低く設定する点も挙げられるでしょう。
なお、大規模なプロジェクトだけでなく短期融資にも用いられることもあります。
長期融資と返済が基本のプロジェクトへの融資に対し、短期融資の場合はコミットメントラインのように運転資金を調達する際などによく活用されます。
この融資が行われる場合にはアレンジャーを担当した金融機関がエージェントとして契約内容の履行や返済の管理などを行う形となります。
国際規模のプロジェクトが増加している現在、この融資方法の有用性は今後ますます活用される機会が増えていくことでしょう。
実は日本政策金融公庫も平成28年9月末時点で、493機関と業務連携・協力にかかる覚書を締結しており、近年協調融資実績は右肩上がりで増えています。
例えばこちらは大垣共立銀行の協調融資ページですので、参考にされると良いでしょう。
また、日本政策金融公庫からも協調融資に関するニュースリリースが出ております。