TTPの合意などの影響もあって日本の農業が大きな岐路に立っているといわれていますが、それ以前から農業の担い手不足が大きな問題となっています。後継者不足や地方の過疎化などの影響で農業という産業が先細りの危機に晒されているとも言われます。
農業の担い手が減っている背景には生計の手段として成り立たない、リスクが大きいといった面が挙げられます。TTPの合意による関税の撤廃・減額などもこの点に大きな影響を及ぼすことになるのですが、そのほか天候に左右されたり、需要と供給のバランスに翻弄されたりするといった面もあります。
しかも農業を始めるには土地の取得、必要な機会の導入などそれなりの資金力が必要です。脱サラで農業を始めたといった話が話題になりますが、そうしたケースでも自己資金を十分に用意したうえではじめたり、金融期間から融資を受ける形で始めたりしていることがほとんどです。
JAの農業融資とはそんな農業をはじめる際のハードルをできるだけ低くするため、支援をこめて融資を行うための制度です。これから農業をはじめようと検討している方に対して融資を行うことで就農を促すほか、有利な条件で融資を行うことで資金繰りを楽にしたり、将来への不安を軽減したりすることも大きな目的としています。
このJAの農業融資には融資対象を3種類(3段階)に分けており、それに併せて融資の内容をそれぞれ設定しています。まず「認定農業者」。これは就農を希望し、その将来の経営計画を具体的に提示したうえで市町村の認定を受けている人のことです。このケースでは農業近代化資金、農業経営改善促進基金、アグリマイティー資金、JA農場ハウスローンといったさまざまな種類の資金から融資を受けることができるほか、税制上の優遇措置も受けられます。
それから就農を希望してその計画を市町村が認定した「認定就農者」。こちらは認定労働者よりも少ない範囲ながらさまざまな資金の融資を受けられるほか、「青年等就農資金」を無利子で借り入れできる恩恵や技術や経営に関する指導を受けられるメリットがあります。
そして農業所得が総所得の過半をしめ、農業租収益が200万円以上の認定農業者、認定就農者以外の人。このケースでも農業近代化資金、JA農機ハウスローン、JA新規就農応援資金といった資金から融資を受けられます。
このようにJAの農業融資はシチュエーション別にこれから農業をはじめよう、経営を行おうと検討している場合に非常に恵まれた支援を受けられる制度となっています。