在庫担保融資とはおもに中小企業の資金調達手段として注目を集めている選択肢です。
厳しい経済状況などの影響で銀行の融資条件が厳しくなるなど中小企業の資金調達事情も厳しい環境が続いています。
この問題は単に中小企業の経営状況に関わる問題ではなく、中小企業が9割以上を占める日本の経済にも深い影響を及ぼします。
中小企業の経営が悪化する理由として決算期や取引の時期に資金を調達できないことが挙げられます。
その結果黒字経営を続けているにもかかわらず資金が足りず倒産に追い込まれてしまうといった問題も出てきています。
この点は自己資金力の不安を抱える中小企業の大きな弱点なのですが、融資を受けにくい原因のひとつとなっているのが担保の不足です。
経営状況や企業としての信用だけでなく、融資を受ける金額に相応しい担保を用意できないことが融資における審査の際のネックとなっているのです。
在庫担保融資とはそんな中小企業が抱えている資金調達の手段や資金力、担保の不足といった問題を解決するための制度です。
簡単に言えば中小企業が保有している商品の在庫や売掛債権といったものを担保にして金融機関から融資を受けることができる制度です。
担保と言えば土地に代表されるように比較的現金化しやすいものが対象となりますが、中小企業にそうした担保を保有している余裕があるところはほとんどありません。
そこで現金化しにくい、あるいは担保として評価・査定するのが難しい面もある在庫や売掛債権を担保に設定することで広く中小企業全体に融資が行われるようにしたものなのです。
特にこの売掛金を担保として融資を受ける手法はファクタリングと言い、近年良く使われている資金調達手段の一つです。
また、この制度なら資金力ではなく企業の事業規模に合わせた融資を行うことができる点も魅力です。
黒字で安定した経営を行っているところならこの制度でうまく資金を確保することも可能になります。
もともと売掛債権を担保に融資を受けることができる「売掛金債権担保融資保証制度」という融資制度があったのですが、中小企業庁ではさらに担保の範囲を在庫にまで拡大することで柔軟な融資を行うことができるようこの制度を新たに導入しました。
補償限度額は2億円、保証割合は8割、保証料率は年率0.68パーセント。
なお、法人代表者以外の保証人は必要ありません。
どうしても資金調達のめどが立たない、担保になるような資産を保有していない、そんな企業にとってこの在庫担保融資は非常に心強い味方となるはずです。
全国の金融機関で申し込むことができますから検討してみてはいかがでしょうか。
