日本政策金融公庫からの融資を考えている方には、「借金がある為、融資を受けたい」と言う方が少なからずいらっしゃいます。
しかし、長期の借金がある方は、融資を受ける前にやるべきことがあります。
それがバンバンCMでも流れている「過払い金の請求」「借金の整理」です。
払い過ぎた利息は、過払い金として返還請求できます。
しかし過払い金の請求にはメリットとデメリットがありますから、請求をする前にメリットとデメリットを比べて、後悔のない請求を行いましょう。
過払い金請求の主なメリットは、
- 払い過ぎたお金が返ってくる
- 払い過ぎたお金には利子がついて返ってくる
- 専門家に依頼すると自分は何もしなくてもお金が返ってくる
この3つです。
最も大きなメリットが、払い過ぎたお金が返ってくることです。
何年も前に完済してすっかり忘れていたキャッシングでも、過払い金を請求すればお金が返ってくる可能性があります。
特に2006年以前に長期間にわたってお金を借りていた人は、多額の過払い金が返ってくるケースが多いのです。
また現在借金を返済中という方も、過払い金で残りの借金が返済できます。
しかも、借金を借入残高よりも過払い金のほうが多かった場合、返済後に残った過払い金が手元に返ってくるのです。
たとえば借金の残高が90万円あり、毎月3万円ずつ返済している人の過払い金が120万円あった場合、90万円の借金を返しても30万円が手元に残るわけです。
毎月3万円を返済する必要がなくなったうえにお金が増えるのですから、こんなに大きなメリットはありません。
過払い金は利子を付けて請求できるので、自分が支払った金額よりも多くのお金が返ってくる可能性があるのもメリットです。
過払い金は、一方的に貸金業者が得をする取引によって生じたものです。このようなお金には、損害金として法定利息の5%をつけて請求できるのです。100万円の過払い金なら、それに5%を上乗せして105万円が請求できます。
最後に、専門家に依頼すれば費用はかかりますが、自分では何もしなくても過払い金が返ってきます。
過払い金の請求は、過払い金が幾ら発生しているのかを計算し、金融業者と直接交渉し、交渉がまとまらなければ裁判で争って過払い金の返還を要求しなければいけません。これらの手続きや交渉は法律に詳しく、経験が豊富な専門家に任せたほうが、スムーズに進みます。
弁護士や司法書士が依頼人に代わってすべての手続きや交渉を行ってくれるので、自分では特に何もする必要がありません。
弁護士や司法書士のなかには、手付金なしで依頼を受け、返還された過払い金から成功報酬を受け取るという費用システムを採用している法律事務所もあります。過払い金請求を得意とする法律事務所をいくつかピックアップして、報酬システムを比較してみてはいかがでしょうか。
任意整理=ブラックリスト?
過払い金請求のデメリットとしてまず考えられるのが、現在借金のある人が過払い金を請求した場合、ブラックリストにのる可能性が高いということです。
金融機関や消費者金融、信販会社などは個人信用情報機関への加盟を義務付けられています。
個人信用情報機関とは、お金を借りた人のデータである個人信用情報を管理する組織です。
融資の申込み受けた場合はお金を貸す前に、まずこの個人信用情報を閲覧し、これまできちんとお金を返しているかどうかを確認しなければいけません。
そして、個人信用情報に返済の滞納や債務整理の記録があると、返済能力なしとみなされ、融資を受け付けてくれないのです。
現在、貸金業者からお金を借りている人が過払い金の返還請求を行うと、任意整理と見なされます。
任意整理とは、残った借金が支払えない場合に、借金残高を減らしてもらうなどの交渉を行って、借金整理をすることをいいます。借金が残っていると、過払い金は残った借金の返済に充てられるので借金残高を減らす手続きを取ったと判断され、個人信用情報に記載されます。
このことを俗に、ブラックリストにのるといいます。ブラックリストにのると、その後およそ5年は借金ができなくなるので注意が必要です。
しかし、借金を完済してから過払い金を請求した場合は、一切記録に残らないので安心です。
ただし、社内の顧客情報に過払い金を請求した顧客として記録される可能性が高いので、その会社との新規取引などに影響が出る可能性があります。
昨今、貸金業者は一社が独立して営業するのではなく、銀行や他の貸金業者などのグループ会社として営業しているケースが多くなりました。
このため、消費者金融のA社、クレジット会社のB社、銀行のC社がすべて同じグループの会社だということがあります。
このような場合は、A社に過払い金を請求したという情報がB社やC社にも伝わる可能性がありますから、これらの会社のローンなどを利用している場合は、注意しましょう。
では、日本政策金融公庫はどうなのでしょうか?
民営化されたとは言え、日本政策金融公庫は政府系金融機関ですので上記のようなグループ企業内の情報共有の心配はありません。
また、過払い請求は最高裁判例で認められた債務者の正当な権利の行使に過ぎません。元々はご自身のお金であったも同然のものであり、過払い請求により戻って来たお金は自己資金としての評価を正当に受けられる可能性が高いです。
過払い請求により返って来たお金をまとまった自己資金があると評価された上で、債務がなくなったのであれば、あとは適切な事業計画書を示す事が出来れば日本政策金融公庫からの融資は十分通る可能性があります。
借金を返す為に借り入れしていては何も問題は解決しません。
まずは借金そのものの問題を解決してから融資申請をするのが正しいプロセスです。
借金で悩んでいる方は、一日でも早く借金問題に取り組むことが大切です。
ブラックリストにのるリスクがあっても、法律事務所に相談し債務整理に取りかかることをおすすめします。
過払い金返還体験談
私はかつてギャンブル依存症でした。大学卒業後に就職した職場になじめなかったのが原因でした。
営業に行くと称して職場を抜け出し、消費者金融とパチンコ店の往復するような生活を送るようになりました。
そのうち、借金返済のために金を借りるようになり、気が付いた時には武富士、アコム、プロミスなど6社からの借入金が約300万円に膨らんでいました。
毎月の返済額は6社合わせて約20万円に達していたように思います。
返済額は借金本体を減らす元金と利子である金利に分けられますが、約20万円の内訳は元金が約15万円、金利が約5万でした。
金利だけで年間約60万円も返さなければならない計算です。
当時の私の年収が手取りで約350万円でしたから、金利負担だけでも相当なものでした。
前述の通り、最初はパチンコ通いがきっかけでした。消費者金融で借りた5万円が3時間でパチンコ機に吸い込まれました。
しかし、消費者金融からの借り入れが100万円を超えたあたりから、借金を返すために借金をするようになりました。
毎日毎日、金の工面のことばかりを考えていました。今振り返ると、多重債務の典型例だったと思います。
弁護士に債務整理を依頼するきっかけは、5年ほど前、新聞記事で見つけた弁護士会主催の無料の電話相談会でした。
おそるおそる電話をかけたのですが、対応した弁護士さんは私の話を優しく聞いて下さり、債務整理に強い弁護士を紹介してくれました。
パチンコが原因で借金をしたことを非難されるのではないかとビクビクしていましたが、そんなことは一切なく、とても安心した記憶があります。
私は10年以上も消費者金融に借金返済を続けていたので、いわゆる「過払い金」が約250万円に達していました。
過払い金とは、本来は払う必要のない金利のことです。当時の借金残高が約300万円でしたから、債務整理によって過払い金と相殺しても約50万円の借金が残りました。
これを1社にまとめ、金利も大幅に下げてもらい、少しずつ返済していくことになりました。
月々の返済額は約1万円となり、とても楽になりました。同時に借金の原因となったパチンコを断つため、ギャンブル依存症から回復するための自助グループに通い始めました。
借金を重ねて良かったと思えることは、正直言ってありません。
借金返済のために消費者金融巡りをするようになってからは、毎日毎日、明日の借金返済のことばかりを考えていました。
実は闇金融に手を出していた時期もあり、その時は返済が滞ると、虚偽の119番通報で自宅に救急車を呼びつけられるなど、闇金業者からひどい嫌がらせも受けました。
債務整理をしてからは順調に借金が減っていき、現在は完済しています。ギャンブル依存症からも回復を遂げました。
もっと早く弁護士に相談に行けばよかったと後悔しています。あえて良かった点を探すとすれば、借金返済を通じて自分が強くなったことでしょうか。
苦しい時期を乗り越えたためか、職場にもなじめるようになり、いまは上司や同僚と楽しく仕事ができています。