金融機関などから融資を受けて返済ができなかった場合、保証会社や保証人などがその人の代わりに、残っている借金の全額を返すことを代位弁済といいます。
保証会社や保証人などから代位弁済された金融機関は、債務者への貸付金が0円になりますから、債権者ではなくなります。
そのかわり、代位弁済をした保証会社や保証人が債権者となり、求償権を行使できるようになります。
求償権とは、他人の借金を肩代わりした代金を請求できる権利のことです。
平たくいえば、「あなたの代わりに借金を返してあげたんだから、そのお金を弁償してくださいね。弁償ができなかったら裁判所に申し立てて担保を競売にかけて、そのお金で返してもらいますよ」ということです。
債務者に請求できる金額の範囲などは、保証人になった事情によって異なります。
まず、債務者からの委任を受けて保証人になった場合は、肩代わりした借金の全額に法定利息、支払いにかかった費用、損害賠償金までを含む全額を請求できる権利があります。
つまりお金を借りるときに、自分から保証人になってとお願いした場合や、ビジネスローンを利用した際に契約書に保証会社に委託する旨が書かれている場合などがこれに該当します。
そしてこれまでのように毎月、借金を返済するのではなく、残りの借金全額の一括返済を求められるのが一般的です。一括返済できなければ、担保となっていた物件が競売にかけられたり、会社の資産が差し押さえられたりします。
しかし借りたお金を返せなくなった時点で、借金を一括で返済することなどはまず不可能な状況に陥っています。
このため分割払いに応じてもらうよう、交渉するしかありません。
しかし、もともと一括で返さなければならないお金を分割にしてもらうのですから、遅延損害金も請求されます。
毎月遅延損害金を合わせた金額を返済していたのでは元本はなかなか減らず、かえって借金が膨れ上がることも考えられます。
そうならないように遅延損害金の減額や、求償権を放棄してくれるよう交渉したり、求償権消滅保証制度を利用したりして少しでも返しやすくすることが大切です。
日本政策金融公庫の融資や、信用協会の保証制度には経営・再生支援のためのセーフティネットが設けられています。
事業資金の融資でリスクを少しでも減らしたい方は、これらの制度を利用することをおすすめします。
これらの機関は中小企業の活性化を目的に国が設けている機関ですから、さまざまな援助の手を差し伸べてくれます。