納税資金とは、企業が相続を行なう際もしくは法人税の納税の際に必要な資金のことを指します。
企業活動を行なうためには納税に関する計画的な資金確保が必要です。
例えば消費税は消費者側から一旦税金を預かり、預かった税金を納める仕組みになっています。
仮に預かった分が設備投資や給料などに使われてしまうと、納税が困難になり、納税上の支障をきたすようになります。
期日までに納税できない場合、追徴課税や差し押さえなどの措置が取られることもあるため、納税資金を確保しておくことが大切になります。
納税資金は法人が納めるべき税額に見合った資金すべてを指しますが、納税資金の中でも高額になるのが相続税です。
一般的に納税資金という言葉が用いられる場合、対象となるのは相続税のことで、経営者や法人の代表者に万一のことが起きた場合に備えて、相応の対策を整えておく必要があります。
相続税は高額になるため、計画的な資産形成が必要となり、預貯金で賄ったり、不動産の売却益で賄ったりと様々な方法があります。
しかし不動産売却による納税資金確保の場合、企業活動に影響が出る場合もあるため、あまり利用は勧められていません。
納税資金を効果的に確保する方法に、生命保険を活用する方法があります。
生命保険の契約者と被保険者を経営者などの被相続人に指定し、受取人を会社の経営を引き継ぐ後継者に設定します。
例えば家族経営の場合、父親が経営者となり会社の被相続人となる場合においては、相続人に長男などを指定して生命保険契約を結ぶことがあります。
生命保険契約を結ぶことで、万一の納税資金をすぐに確保できることと、生命保険契約中は損金処理できるため、税制上のメリットがあります。
さらに相続税を減らしたい場合には配偶者を相続人に指定する方法があります。
相続税は相続する血縁関係の上位者ほど軽減されるためです。
相続における納税資金の確保を考慮する場合、生前贈与を選択肢とすることもできます。
生前贈与を行なう場合、相続税を免れることができ、経営にダメージを与えるほどの損失を避けることができるからです。
多くの企業で経営者が存命中に経営権を配偶者や子ども、親族などに引き継ぐのはそのためです。
相続税は相続が決まってから10か月以内に収めなければならないため、できるだけ早く資金を確保することが求められます。
税理士に相談して、納税資金の最適な確保の仕方を考えておくのも良い方法です。