公的融資の肝はあくまでも自己資金ではありますが、自己資金を用意したから確実に融資がおりる訳ではありません。
パターンとしては以下4つに大別されます。
- 自己資金の準備があり事業計画書がしっかりしている
- 自己資金の準備はあるが事業計画書がイマイチ
- 自己資金はないが、事業計画書はしっかりしている
- 自己資金もなく、事業計画書もずさん
4が融資がおりないのは当然です。
逆に、1は貸付対象業種外とか、自己資金が実は見せ金であるとかで無い限りは、ほぼ100%下りるでしょう。
2,3が微妙ですが、当然3より2の方が「圧倒的に」融資は下りやすいです。
要は自己資金を貯める努力をしていない「口先だけの人間」は、立派な事業計画書を作ってもNGになる可能性が高いわけですが、勿体ないのは、2の「自己資金の準備はあるが事業計画書がイマイチ」で融資を逃してしまう方です。
では、どういうものが「ずさんな(融資が絶対に下りない)事業計画書」と言えるのでしょうか?
1.売上見込みが甘い
数字が適当なんです。
例えば飲食店で多いのですが、席数から考えて絶対に回転しないだろうって回転数を平気で書いて売上予測を立てているケース。
また、平日と週末の回転数を分けて書いていない方なんかは、ハッキリ言えば何も考えていないレベルです。(週末と平日で回転数が違うことなんて当たり前ですから。)
そんな事業計画書を書いている時点で下りるものも下りません。
2.経費の記載漏れ
売上から各種経費を差し引いていったものが純利として残るお金なわけですが、例えば、仮に1か月純利で40万円残る計画書を書いていたとして、そこに重大な計上漏れがあったら、純利40万円の前提が崩れることになりますよね。
家賃や人件費が抜けていると言うことはさすがにないですが、リース代金などの毎月事業運営の為に必要な固定費や、税金、公庫への返済金を抜かしたりしてツッコまれると即アウトです。
40万円の純利と計画していたものは、実はそれら経費や返済・支払いすべきものを引くと30万円かもしれません。
それでいてあなたが5人家族だとしたら、「家族食っていけますか?」と言う話にもなりますし、「仕入れ資金や投資資金はどうするつもりなんですか?」と言う話にもなります。
3.利益が多すぎる
1,2が甘い方は必然的に最終利益が過大な数字になっているのですが、そんな絵に描いた餅を見せられても百戦錬磨の公庫担当者が融資するはずもありません。
そんなに楽して利益バンバン出たら苦労はないでしょう?
実際、個人零細企業や中小企業はほとんど赤字なんですから。
利益が出る事業計画書を書いただけで融資が出るならだれも苦労はしません。
かと言って、計画時点で利益が全く出ないのならば、そんな事業に融資する人は誰もいません。
現実を見て、現実的な数字を出して、融資ははじめて引っ張ることが出来るのです。
何十ページもの事業計画書なんて必要ありません。
あくまでも「しっかりと考えた事業計画書」であれば、実際に融資が下りるのは数ページのみの事業計画書です。
ずさんな事業計画書を作成する方が多過ぎます。
低利・固定の非常に有利な条件で借りられる公的融資はそんなに簡単には下りませんよ。
じゃあ、どんな事業計画書なら融資がおりるの?と言う方はこちらをご購入下さい。
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嘘の事業計画でも融資はおりるの?
稀にではありますが、上記のような問い合わせを頂きます。
融資を受けようとする方は勤勉で、相談される前から融資に関する知識をつけてらっしゃる方も多いです。
「どうやら、○○関連の事業は公共性が高いので融資がおりやすいらしい・・・・」
社会情勢等の外部環境に応じて、融資がおりやすい業種、そうでない業種というのは実際にあります。
また、日本政策金融公庫融資や信用保証協会付制度融資の場合、貸付可能業種と貸付不可業種があります。
しかしながら、やりもしない架空の事業計画書を作って融資を引っ張るなんて真似は当然できません。
以前実際にあった問い合わせは、飲食店をやりたいのだけど、アスベスト関連の事業計画書を作って欲しい・・・と言うものでした。(当時アスベストが社会問題化しており、アスベスト除去を手掛けていた建設業者には、実際弊社のお客様でもバンバン融資がおりていました。)
しかし、飲食店をやりたいが為に、アスベストの事業計画書を作って融資を引出すなんて不可能です。(そもそも、ウチは行政書士事務所であって、違法な金融ブローカーではありませんので、嘘の事業計画なんて書けません。)
仮に嘘の事業計画書なんて作ったところで、「貸すプロ」である日本政策金融公庫や信用保証協会、銀行等の金融機関の人間の目をごまかせるはずありません。
事業計画書と見積もり書、通帳、そして面談・・・融資実行までの過程で嘘をつけば、必ずそのどこかに矛盾点が生じます。
嘘がバレれれば、日本政策金融公庫をはじめとした金融機関は絶対に融資しませんし、履歴が残りますので、次回の申込も受け付けてはもらえないでしょう。
よしんば、仮に嘘の事業計画で融資がおりたとしましょう。
しかし設備投資はどうしますか?
融資申込みの際に提出した見積書がありますよね?
10万円以下のものに関しては設備投資としての評価を受けませんが、金額の高い設備投資をしたのならば、融資がおりた後で必ず日本政策金融公庫側のチェックが入ります。
アスベスト関連の機材を見積書に出しておきながら、それを買っていない。
それどころか、飲食店をはじめている。
そんな事実が先方に知られたならば、すぐに融資したお金を返せと言われてしまいます。(実際にそういう方もいらっしゃいます。)
そもそも論になるのですが、アスベスト関連の事業をやるには特別講習の修了書が必要ですし、工事規模によっては、建設業許可がなければ融資はおりないんですよね。
嘘の事業計画書やずさんな事業計画書で融資を引っ張れるほど、公的融資の資金調達は甘くないと言うことを肝に銘じておきましょう。