ご自身の資金だけで創業資金をまかなえない場合、日本政策金融公庫融資や信用保証協会付融資等の公的融資を受けるわけですが、日本政策金融公庫からの創業融資に関しては、制度によっては自己資金の要件があり、これをクリアできないケースが多いのが実情です。
例えば、日本政策金融公庫の新創業融資の要件としては、「総事業費の3分の1は自分で用意して下さいね」ということになっています。
これはつまり、
トータルで900万円必要な事業をやろうと思ったら、最低でも自己資金300万円は用意してください。残り600万円は日本政策金融公庫からお貸しすることも可能です。
ということです。(あくまでも、600万円までの融資が「可能」と言うだけで、600万円必ず貸してくれるわけではありません。)
しかし、上記の例で言えば、その最低ラインである自己資金300万円すらも準備出来ないことが多いということです。
その場合、家族や親戚、友人・知人から出資してもらい自己資金の底上げを図る方法が考えられます。(日本政策金融公庫は、原則として返済不要の借入資金に関しては、自己資金としての評価をしてくれます。もちろん、事業用に使用することが前提です。)
例えば、上記例で言えば、200万円の自己資金と、100万円親から出資してもらい、その300万円をもって、600万円の融資を申請するという形になります。
ただ問題となるのは、「この親からの100万円の出資をいかに証明するのか?」
ということです。
100万円の現金を持って、親にも面談に同席してもらう、というわけにもいきません。
弊社で支援しているお客様に行っている対応は以下の通りです。
- 面談前に、両親(友人知人)からの出資をしてもらえる旨、担当者に予め伝える。
- その上で、担当者に面談時に持参する通帳に振込をしておくべきかどうか確認する。
- 事業計画書に両親(友人知人)からの出資である旨、その経緯、返済方法に関して記述する。
- 両者で出資契約書を巻いて、面談時に持参する。
大体上記をしっかりしていれば、自己資金としての評価を受けることができるようです。
会社の場合ですと、定款や議事録で誰が、いくら出資したか記載されますが、個人事業や新規開業の場合にはそんなものもありませんからね。
客観的に証明できるよう、書面化しておくことは大切な要素です。
タンス預金が自己資金としての評価を受けなかったり、面談前の突然の大きな入金を自己資金として認めてもらえなかったり、自己資金としての認定に関しては日本政策金融公庫はかなり厳しいです。
勝手な思い込みで、「通帳に記入さえしていればいいだろう」と、100万円の入金を親名義でいきなり振り込んだ通帳を持参したところで、自己資金としての評価をしてもらえない可能性の方が大です。(このようなケースで、出資した親の通帳を持ってこいと言われたケースもあります。)
他者からの出資(若しくは返済期限なしの借入)をからめて融資申請をお考えの方は、申込・面談前にくれぐれも十分な注意を払って臨むようにしましょう。
また、ご自身で提示できる、本当の意味での自己資金(あなたがコツコツ貯めたお金)の金額があまりに低いようだと、例え他から多額のお金を引っ張ってこれたとしても融資審査の評価はガクンと落ちます。
あくまでも、メインはあなた自身で貯蓄したお金である必要があります。(当然のことではありますが)
弊社で最近サポートさせて頂いたお客様の一例を挙げますと、
自己資金200万円、妹さんからの出資80万円にて、希望額500万円満額の融資に成功された方がいらっしゃいますが、その他の事例も、大体比率としては、このくらいのケースが多いのが実情です。
少なくともご自身の貯蓄の方が多い方が好ましいということですね。