「日本政策金融公庫から一度融資を断られると、そこで諦めるしかないのでしょうか?」
当事務所にもよく寄せられる質問です。
結論から申し上げると、再申請(二度目の融資申請)で融資を勝ち取っている方は結構います。
ウチの事務所でも実際に最初ご自身で融資申請をしたものの、断られたから・・・ということでご相談にお見えになられた方で希望額満額、或いは満額とまではいかなくても数百万円の融資を勝ち取り開業された方も数名いらっしゃいます。
再申請で融資が通るか否かのポイントは至って明確で、「修正可能な事項かどうか?」にかかっています。
例えば、一度目の申請で
- 自己資金額の不足
- 資金の動きを確認する為の通帳の履歴がない
- 高金利からの借入がある
- 過去前期、今期の業績が著しく悪い
- 面談での嘘や書類の偽造があった
上記のような「変えようのない事実」が融資不可の原因であった場合、二度目の申請も同様に、融資を断られる可能性が高いです。(融資不可理由を変えようがありませんので。)※業績や自己資金の少なさに関しては、連帯保証人を複数つけたり、不動産担保を差し出したり、担保力を増強することで融資OKに転じる可能性もあります。
一方、一度目の申請で
- 申込金額が過大
- 経費見込みが甘い
- 売上げ根拠が不明確
- 事業に必要なものが確保で来ていない(人材・仕入先・駐車場スペース等)
上記のような「事業計画の変更」でいくらでも修正可能な部分が融資不可の原因であれば、事業計画を再度練り直すことで融資実行というまったく逆の結果になり得ます。
例えば、申込金額が自己資金との比率の関係や、実際の事業規模からの判定で「過大」と判定されて駄目だった場合には、当初計画していた設備投資を抑えたり(車両3台購入を2台に減らす等)、購入予定だった設備をリース化することでも初期設備投資金額を抑えることが出来ます。
また、経費の見込みが甘い場合等も事業計画を見直すことで、評価はガラリと変わります。出来れば、経費関係は具体的に示すことが好ましいと言えます。
設備資金のみならず、運転資金に関しても出来る限り見積書等の書面を取ることで細かい明細をハッキリとさせることがひとつ。
例えば、自動車を営業で使用する場合には、自動車保険の見積を取っておいたり、OA機器を購入ではなくリースにて使用する場合には、リースの見積書を取っておくと経費がクリアー且つ具体的になり、現実に即した計画となります。
また、もうひとつ大切なポイントは、事業計画書上に「計算式」を書いて具体性を示す方法です。
例えば、ガソリン代ひとつとっても、下記のように記載すると具体性も信憑性も増した計画書となるでしょう。
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仕事柄、車輌1台あたり年間4万キロの走行を見ておけば十分だと考えております。
購入予定車輌の走行燃費が大体リッター10キロ程度ですので、年間必要ガソリンは、4000リットル/1台となります。
現在のリッターあたり価格を約120円と想定すると、月間のガソリン代は下記の通りとなります。
4,000リットル×120円/リットル ÷ 12ヶ月 × 2台 = 80,000円
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非常に単純な計算式ではありますが、綿密に経費計算を行っているアピールにもなります。
ガソリン代がメインの経費になる場合等、特にこれくらいは具体性を持たせたいところですし、他の経費項目に関しても計算根拠となるものは出来るだけ明示しておくようにしましょう。
面談の席や面談後の電話等で日本政策金融公庫の担当者が、「融資不可の理由」をハッキリと告げることはあまりありませんが、「何が原因で融資を断られたのか?」は、彼らが発する言葉の端々で大体察知する事が出来ます。
ご自身でも面談及びその後担当者の反応は注意深く観察し、変更事項次第では融資がおりるチャンスと思ったら、ひるまずに果敢に再融資申請にチャレンジしてみて下さい。
とは言え、一度断られると、修正可能事項であっても6ヶ月間は間をあけてくれと言われることもありますので、出来るだけ最初から穴のない融資申請を心がけましょう。
書類作成や面談に自信がない方は、専門家に依頼するのも一つの手です。